阪神佐藤輝明内野手(22)が日本一への誓いを立てた。チームは29日、甲子園で全体練習を再開。シーズンは無念の2位に終わったが「日本シリーズに出られるチャンスはある」と球団初の下克上日本一に照準を定めた。30日からは宮崎でフェニックスリーグに参加し、11月1日まで3試合プレーして打棒を研ぎ澄ます。同6日から始まる巨人とのクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージへ状態を上げていく。

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秋晴れの甲子園に放物線が飛び交った。バックスクリーンに3発。右中間に2発。右越えに2発。もちろん、快音の主は佐藤輝だ。フリー打撃で49スイングし、7本の柵越えを披露。完全復調の予感を漂わせる豪快アーチショーになった。

佐藤輝 しっかりとCSで結果が出せるように、練習に取り組んでいます。

26日のリーグ最終戦から2日間の休日をはさみ、チームは甲子園で練習を再開した。2位ヤクルトに最大7ゲーム差をつけたが、あと一歩で逆転され、無念の2位フィニッシュ。だが、日本一への挑戦権はまだ残されている。表情を引き締め、誓いを立てた。

佐藤輝 リーグ優勝は逃しましたが、まだ日本シリーズに出られるチャンスはあるので、そこに向かって全力で頑張ります。とにかく全力で、チーム一丸となって勝てるように頑張るだけだと思っています。

切り替えた新たな目標は、11月6日の巨人戦で始まるCSを勝ち抜き、7年ぶりに日本シリーズに出ることだ。阪神は14年に2位からシリーズに出たことはあるが、下克上日本一はない。シーズン終盤の悔しさも晴らすべく、佐藤輝が打線を引っ張る意気込みだ。

南国の地で臨戦態勢を整える。この日の練習後、宮崎に入った。30日からフェニックスリーグに参加し、11月1日まで3試合プレーする。「自分のスイングをしっかり心掛けて頑張っていきたい」。30日はヤクルト戦(西都)。相手は主力が出ない見込みだが、巨人に勝てばCSファイナルステージで戦うツバメの戦闘服に燃えないはずがない。

この日は全員が胸に「Play Tigers Baseball」と記されたTシャツを着て練習を行った。スアレスが円陣で「タイガースの野球をしよう」と発した言葉を引用したもので、CS突破へ一丸を確認した。背番号8にとってのタイガース野球とは?

佐藤輝 愛される野球というか、凡打した時でもしっかり走ったりとか、そういうのをしっかりやろうと(チームで)言っている。誰が見ても好感が持てる、そういう野球だと思う。

今季はフルスイングでファンの心をつかんだ。ポストシーズンで完全復活し、愛される野球で頂点に導く意気込みだ。【前山慎治】

◆過去の下克上日本一 レギュラーシーズン勝率2位以下の球団がCS(04~06年はプレーオフ=パのみ)を勝ち抜いて日本一となったのは過去6度。05年にはパ2位のロッテが、阪神を相手に4連勝でV。07年セ2位の中日はセ唯一の下克上日本一で、日本シリーズ第5戦で日本ハム相手に山井-岩瀬の継投による完全試合で日本一達成。10年は、ロッテが唯一の3位からの日本一。近年では18、19年にパ2位のソフトバンクがいずれもVの西武を倒してシリーズ進出。優勝した17、20年と合わせ4年連続日本一を飾っている。