ロッテ美馬学投手(35)がアクシデントに泣いた。

5回まで無失点。6回も4球で2死を奪った。ここを切り抜ければという場面で、オリックス吉田正の強い打球が右足太もも付近に当たった。表情をゆがめ、歯を食いしばってベンチへ戻った。

結局、無念の降板に。直後の初球、2番手東妻がオリックス杉本に決勝2ランを浴び、熱投が黒星になった。「アクシデントでの降板となってしまい、後の投手に迷惑を掛けてしまいました」。優しい美馬らしく、責任を自分で負う言葉を発した。

波の大きな1年だった。交流戦で2戦合計21失点。受けたダメージは大きかった。「打たれたことによって悩みすぎて、ちゃんと投げられなくなっていた」と告白したこともある。夏場に1から作り直したが、優勝マジック3の10月25日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)では2回途中7失点KO。連勝中のチームの勢いが消えた。

「かなり迷惑を掛けたし、そこで勝っていたらなと思うところはたくさんありました」

「悪いなりに何とか、という投球もずっとできていないので」

登板前には厳しい自責が並んでいた。FA移籍でロッテ2年目。思うような結果を出せずに悩みながらも、頼ってきた若手たちのことはしっかりと支え、長いシーズンを駆けた。「ここで終わりではないので、ファイナルとかで(借りを)返せたらなと思います」。初回から150キロを出し、フルカウントから4球ファウルした3番吉田正にも根負けしなかった。最初からあらゆる球種を駆使した。

井口監督も「今シーズンの中でも本当に良かった(投球だ)と思います」とたたえた。CSファイナルの先発にふさわしいマウンドだった。右足は大事に至らず「チームの逆転を信じて、あとは応援します」と戦況を見守った。無情にも、ロッテ側にも0が並んだ。【金子真仁】