西武、巨人、オリックスで活躍した清原和博氏(54)が23日、中日のキャンプ訪問のため滞在している沖縄で、人命救助に一役買った。那覇市内を車で移動中、自動車とバイクが絡んだ交通事故現場に遭遇。交差点内に倒れていた男性を安全な路肩に運び、救急車で搬送されるまで見守った。その後は中日2軍の読谷キャンプに向かい、PL学園の後輩、片岡篤史2軍監督(52)を激励。14年以来というキャンプ訪問で2日連続で注目された。

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清原氏は知人が運転する車で、中日2軍の読谷キャンプに向かう途中だった。同乗の知人によると、正午すぎ、那覇市内の明治橋交差点で、乗用車と接触したバイクの50~60歳とみられる男性が放り出され、路上で倒れていた。交通事故の現場を目撃すると、清原氏は「助けに行こう」と知人に言って、雨の中、車を飛び出した。動けずにいた男性を知人とともに担いで安全な路肩へと移した。

清原氏は「たまたまなんですよ。交差点のど真ん中で危なかったんで、その方も動けないぐらいのけがをしてて、道路の方に運ばせていただきました。やるべきことをやっただけです」と語った。

転がったままのバイクを知人と路肩まで運び、散らばった破片などを片付けると、傘も差さず交通整理も行った。「あまりに大きな男が交差点のど真ん中に出て来たので、みなさん、協力的に止まってくれて良かったです」。けがをした男性が救急車に運ばれるまで現場に残った。所轄の那覇署が人身事故として調査中で、清原氏が救助活動に関わったかは確認できていないという。

清原氏は、巨人時代の04年に自宅マンション入り口でうずくまっていた、CHEMISTRY(ケミストリー)の堂珍嘉邦の夫人を車で病院に搬送したことがある。

人命救助に一役買った後は、滞在先のホテルに1度戻ってずぶ濡れになった服を着替え、中日の2軍キャンプへ。PL学園の後輩の片岡2軍監督を笑顔で激励した。前日22日は1軍キャンプで同じく高校の後輩の立浪監督に会い、石川昂ら若手に打撃面の助言を送っていた。薬物依存からの回復をはかる中、今回、14年以来というキャンプ訪問は立浪監督や中日球団の協力があって実現している。清原氏は「昨日は2の数字が並んだ。第2の人生、セカンドチャンスが、ドラゴンズのキャンプ地からスタートできた。2人がユニホームを着てくれたおかげで、僕はここに来られた」と関係者に感謝した。ちなみに石川昂の背番号も2だった。

<主な球界のお手柄>

◆交通事故で救助 日本ハム柏原純一は80年6月、首都高速を走行中に衝突事故を目撃。バットでドアガラスを割り、事故車両に閉じこめられていた負傷者らを救出した。

◆火事から救出 中日山崎武司は90年12月、火事で逃げ遅れた乳幼児ら5人を救出。セ・リーグ会長から特別表彰された。

◆痴漢を逮捕 ヤクルト金沢次男は92年8月、痴漢を捕まえた。犬の散歩中にOLの悲鳴を聞き、近くにいた会社員と協力。約400メートル追いかけ、男を捕まえ警察に引き渡した。

◆プールで女児救出 近鉄酒井弘樹は00年1月、サイパンでの自主トレ中にプールでおぼれている少女を発見。とっさに飛び込み、救出した。

◆駅で男性救出 西武森友哉は大阪桐蔭時代の13年11月、線路に転落した視覚障害者の男性を同校野球部員とともにホームへ抱え上げた。

◆雪道で人命救助 日本ハム斎藤佑樹と有原航平は16年11月、北海道美瑛町の路上で、横転して側道に転落した乗用車内から男性を救助した。

◆AEDを使用 巨人会田有志コーチは20年6月、練習帰りの駅で意識不明の男性を発見。自らAEDを用いて救助し、後日消防総監感謝状を贈呈された。