阪神佐藤輝明内野手(22)が、豪快な1発で2年目の「進化」を示した。24日、沖縄・宜野座キャンプの紅白戦で、紅組の4番右翼で先発。7回の第3打席で、追い込まれてから弾丸ライナーで右翼席へ放り込んだ。今季の実戦2号を含む2安打をマーク。確実性を上げている大砲に、他球団のスコアラーも戦々恐々だ。

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強烈な打球音が、宜野座に響き渡った。7回先頭のマルテが1発を放った直後。佐藤輝がカウント2-2からの7球目、湯浅の内角へ甘く入った141キロフォークをコンパクトに振り抜いた。完璧に捉えた打球は弾丸ライナーで右翼席へズドン。「しっかり芯に当たった。低い当たりだったけど入って良かったです」。5日紅白戦以来の1発に、白い歯をのぞかせた。

確実性を上げている。本塁打の打席は3球で追い込まれ、内角変化球をファウル。ボールを挟み、外角低めの変化球をファウルとしてからの7球目だった。4回2死からの第2打席では、2ボールからのファーストストライクを仕留め、遊撃手が二塁ベース後方に位置する“輝シフト”の二遊間を猛スピードでぶち抜いた。この日は6スイングで空振りは0。両リーグワーストの173三振を喫した1年目の姿はなく、キャンプを通してコンタクト率が上昇傾向にある。

巨人志田スコアラーは、佐藤輝の「進化」を警戒した。「去年空振りで終わっていたのが、バットに当てて逃げられてる」と分析。「空振りで終わるのも悪いことでもないけど、彼の魅力でもあった。魅力を最大限に生かすバッティングは怖い」と震え上がった。矢野監督も佐藤輝の1発に「あれ、良くない時やったらファウルになる。合わせにいくんじゃなくて、振りにいく中でのコンタクトができる方が俺は大事だと思う。いい形で来てるんじゃないかな」とうなずいた。

藤井康1・2軍巡回打撃コーチと取り組む軸足を意識した取り組みが実を結んでいる。同コーチは「バランスがいい。ちゃんとした自分の軸線がある中で、地球というか、地面に対してしっかり立てている」と評価。追い込まれてからのコンパクトスイングは「必然と言った方がいい。いい待ち方ができれば、ストライク、ボールの見極めは必然的に良くなってくる」と説明。佐藤輝は「自分の軸でしっかり立って、いい形でボールを待てているのかな」と手応えを口にした。

紅白戦を含む実戦7試合で、打率4割5分8厘、2本塁打、4打点と絶好調。2年目の目標として「(打率)3割は超えたい」と気合。怪物ルーキーから真の4番へ、着実に歩みを進めている。【古財稜明】

広島岩本スコアラー(佐藤輝について)「三振しないのはもちろん大事だけど、自分なりに考えてやっている。(投手の)持ち球を使わないわけにはいかない。反応を見ながら策を練っていきます」