阪神藤浪晋太郎投手(27)が2年連続2度目の開幕投手に決定した。オリックスとのオープン戦で最後の調整登板に臨み、5回を2失点(自責1)。試合後、矢野燿大監督(53)が「晋太郎で」と明言した。当初は開幕2戦目に先発予定だったが、開幕投手に決まっていた青柳晃洋投手(28)の新型コロナウイルス感染で急きょ「繰り上げ先発」が決定。25日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)に先発する。

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藤浪はほぼ無表情のまま、最後の調整マウンドを投げ終えた。5回を6奪三振4安打2四球で2失点(自責1)。突然の調整変更にも動じなかった姿は、指揮官の目にも頼もしく映ったはずだ。

「ヤギ(青柳)がこんなことになったから晋太郎で。去年も上の伸びしろを期待して晋太郎を開幕投手に送り出した。そういうところでは去年よりも自信を持っていくんじゃないかな」

試合後、矢野監督は2年連続で大器に開幕マウンドを任せる事実を認めた。

当初は開幕2戦目となる26日ヤクルト戦の先発が予定されていた。このプランが白紙に戻ったのは2日前だ。開幕投手に決まっていた青柳が16日、新型コロナウイルスの濃厚接触疑いで自主隔離に。一躍、代役の最有力候補となった。前日17日には青柳のコロナ感染も判明。藤浪は19日だったオープン戦最終登板を急きょ1日前倒しし、粘投でチーム全体を安心させた。

最速160キロを計測した一方で計97球のうち45球が変化球。110キロ台のカーブで見逃し三振を奪うなど、多彩な変化球で的を絞らせないスタイルも定着しつつある。5回には吉田正の打球を右足に当てたが、本人は「大丈夫です」とケロリ。登板後、指揮官から「足、大丈夫か? 開幕行けるやろ? じゃあ行くぞ」と大役を伝えられた。

青柳からはLINEで「ごめんね。頑張ってね」と連絡が届いたという。藤浪は「こればかりは誰しもがなること。青柳さんが悪いわけではない」と強調。「青柳さんが一番悔しいと思う。2週目以降、戻ってきてくれると思うので、それまでいい流れでつなげたい」。3月25日ヤクルト戦。先輩への熱い心意気も力に変えるつもりだ。

1月に巨人菅野と自主トレを共にして、軸足の使い方を改善。オープン戦4戦登板で防御率2・81と安定感は増している。「当日になったら吐くぐらい緊張しているかも分からないですけど…」と冗談めかした上で「開幕“代行”なので、あまり気負わず力みすぎず、落ち着いて入れれば」と自信ベースの自然体。確かな手応えを胸に、開幕戦に再び挑む。【佐井陽介】

▼藤浪が2年連続で開幕投手となれば、阪神ではメッセンジャーが15~19年に5年連続で行って以来。日本人に限ると、能見が11~12年に務めた2年連続以来。なお阪神の連続シーズン開幕投手の最長は5年で、前述のメッセンジャーと02~06年井川慶の2人。

▼藤浪が京セラドーム大阪で登板した試合で、阪神は16年8月17日広島戦から6連敗を継続中。藤浪自身も11試合すべてに先発登板し3勝6敗、防御率4・80と苦戦している。60イニングを投げ35四球で、与四球率は5・25。他球場での4・18に比べ、ややコントロールに苦しんでいる。

◆昨季の藤浪の開幕投手(3月26日ヤクルト戦) 初回は3者凡退の滑り出し。2回に内野ゴロの間に1失点し、5回にはフォームを崩し、1死満塁から痛恨の暴投でさらに1点を失った。自身初の大役は、5イニングを投げ2失点で勝敗つかず。5四球2暴投とコントロールに苦しんだが「もっと緊張したり、入りにくさがあるかと思ったけど、意外とすんなり入れた」と淡々としていた。試合は3-3と同点の8回、サンズが決勝本塁打を放ち、阪神は白星発進した。