“東北のゴジラ”が火を噴いた。ドラフト2位楽天安田悠馬捕手(22)が、プロ1号となる貴重な同点弾を放った。新人では12球団第1号。守備では先発マスクをかぶり、田中将とのバッテリーで昨季リーグVのオリックス打線を1点に封じた。ルーキーながら攻守両輪の活躍で、チームは2連勝。先発の田中将は今季初勝利を収め、石井GM兼監督と並ぶ日米通算182勝目を挙げた。

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打った安田も、ベンチ横の田中将も、視線の先は一緒だった。安田がフルスイングで豪快にプロ1号弾を打ち込んだ。1点を追う5回2死。初球、ど真ん中へのカットボールをフルスイングした。それまで攻めあぐねていたオリックス田嶋から、右翼席へ貴重な同点弾。「ホームランは狙ってないけど、どんどん甘いのは振っていこうと思ってました」。キャッチボールをする田中将も笑顔で弾道を見届けた。

昨季Vチームとの今季初戦で、スタメンマスクをかぶった。緩急をつけ好投する田中将の呼吸に合わせるように、ミットを構えた。3回に先制点を許したが、続く4回は3者凡退。安定飛行の右腕を援護する一撃が飛び出したのは、その直後の5回だった。石井一久GM兼監督も「この辺で点取らないと、膠着(こうちゃく)しちゃうなというところで1発で同点。希少価値が高い」とルーキーらしからぬ仕事ぶりに賛辞を送った。

あの時に見たアーチを、自身のバットで描いた。小学4年生だった09年4月10日、同じ京セラドーム大阪のスタンドにいた。少年野球のチームメートと観戦に訪れ、オリックスのラロッカが3打席連続本塁打を放った。かつて憧れたプロの戦いに、この日は両親や地元・兵庫の友人らを球場に招待。「いいところを見せられてよかった」と、かつてのラロッカのように勇姿を届けた。

チームを2連勝に導いた記念球は、両親へプレゼントする。「ここまで育ててきてくれて、ここまで野球やらせてもらって、恩返ししたい気持ちでいっぱい」と、さらなる親孝行を誓った。【栗田成芳】