BIGBOSSが敗戦の中に光明を見いだした。日本ハムは楽天5回戦(楽天生命パーク)に敗れ、連勝が3で止まった。

新庄剛志監督(50)は2点差で敗れた試合を「勝ちに等しいぐらい」と表現。今季6度目の0封負け寸前だった9回に、打線が2点を奪い返した姿にチームの成長を感じ取った。

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【ニッカン式スコア】20日の楽天-日本ハム戦詳細スコア

試合後の新庄監督の第一声は、明るかった。「でかいですよ。ねぇ、2アウトから? 『これ1点取ったら成長だね』って話を(周囲の首脳陣と)していて2点。いやこれは、勝ちに等しいぐらいの…(敗戦)。俺の中では。これは素晴らしい」と、まくしたてた。

喜びが込み上げたのは4点を追う9回の攻撃だった。1死から野村が二塁打。2死二塁となり、渡辺が7球粘って四球を選んで好機を拡大。石井が右中間へ2点適時三塁打を放った。

新庄監督 石井君が打ったのもそうだけど(2死から渡辺が選んだ)四球からね、走者がたまって、かえしてね。うれしかった。

打線は楽天岸の伸びのある直球にてこずり、7回まで無得点。8回もブセニッツに力でねじ伏せられ、今季6度目の0封負けが近づいていた。そんな逆境を、はね返すまでは至らなかったが、守護神松井を引きずり出し、一矢報いた。最後までハラハラドキドキの試合展開にした選手たちの姿が、BIGBOSSの心をくすぐっていた。

選手の成長を第一優先として采配を振る中で、最後の打者になった今川には成長の糧を与えた。清宮も代打準備する中で、あえて代えなかった。打席へ向かう前には今川に近寄って「結果なんて気にしなくていいよ。この場を楽しんで、行け。任した」と、声をかけた。結果は空振り三振だったが、新庄監督に後悔はない。「ああいう若い子は結果を出して自信が出る。自信をつけさせて育てていく」。9回の攻撃のように、まき続けた種は少しずつ芽を出し始めている。新たにまいた種も、いつか花開くはずだ。【木下大輔】