阪神山本泰寛内野手(28)は古巣巨人から1028日ぶりのプロ4号を放ち、試合を決定づけた。5点リードの8回1死一塁、2ボールから畠の内角低め143キロ直球を狙い打ち。左翼ポール際まで2ランを運んだ。巨人時代の19年7月7日DeNA戦以来の1発に「素直にうれしい」と笑顔。「結果的にこういう形になったんですけど巨人戦で良かった」と喜んだ。

巨人から阪神に直接移籍した選手のG戦アーチは広沢克実以来、2リーグ分立後では2人目の快挙。今季打率を3割3分3厘まで上げ、早くも移籍1年目だった昨季の8安打に並んだ。「(元チームメートの)みんなにちょっとずつ成長した姿を見せられたのかな」と充実感が漂う。代打で登場した同点の7回2死一、二塁では四球を選び、6得点の猛攻を呼んでいた。矢野監督は「総合的に考えて、ヤスがやってくれるんじゃないかと思って」と納得顔だ。

20年にMBS辻沙穂里アナウンサーと結婚。1歳の長男はかわいい盛りだ。「いろんなことをしゃべるようになって、帰って会うのがすごく楽しみ。もっと活躍して、いい姿を見せられるようにやっていきたい」と気合を入れ直した。

▼巨人から20年オフ、金銭トレードで阪神に加わった山本が巨人戦で本塁打。他球団を経ずに直接移籍した選手では広沢克実以来、2リーグ分立後2人目。巨人を99年限りで自由契約となった広沢は、ヤクルト時代の恩師野村克也監督率いる阪神に移籍。01年8月7日(東京ドーム)2本、同年8月29日(甲子園)1本、03年8月28日(甲子園)2本の計5本塁打を放ち、古巣に恩返しした。ほかに90年オフには石井雅博が交換トレードで巨人から阪神に移ったが、阪神では1軍戦出場はなかった。

<山本泰寛アラカルト>

◆生まれ 1993年(平5)10月10日、東京都出身。

◆球歴 慶応高から慶大に進み、15年ドラフト5位で巨人に入団。

◆プロ初安打 1年目の16年5月1日ヤクルト戦(神宮)で記録。9回に代打で出場し、ペレスから左前打。

◆ユーティリティー 内野全ポジションを守れる。巨人1年目に井端弘和内野守備走塁コーチ(現侍ジャパン同職)の指導を受け、「今の基礎になっています」。

◆移籍 20年オフに巨人から金銭トレードで阪神へ。巨人から阪神への移籍は2リーグ分立後では00年広沢克実以来5人目。

◆打倒巨人 阪神の入団会見では、原監督から「自分にしかできないことをアピールしてほしい」と惜別の言葉をもらったと明かし、「ジャイアンツには負けないぞという気持ちで」と恩返しを誓った。

◆サヨナラ打 移籍1年目の昨年4月3日中日戦(京セラドーム大阪)で人生初のサヨナラ打。「タイガースの一員になれた気がして本当にうれしいです!」

◆家族 妻はMBSの辻沙穂里アナウンサーで、昨年3月末に第1子となる長男が誕生。

◆サイズ 176センチ、76キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1900万円。