3連勝を逃したオリックス中嶋聡監督(53)は悔しそうな表情だった。勝率は5割に戻った。

1-1の8回、先頭の池田陵真外野手(18)がプロ初安打で出塁。初昇格で先発に抜てきしたルーキーの一打にベンチは盛り上がった。だが、このチャンスも生かせない。逆に直後に勝ち越され、9回1死二、三塁の逆転サヨナラ機でもホームに届かなかった。

「(池田の初安打で)いい流れが来た! と思ったら、こんな感じですもんね。くそ~。まだ来てないのか…」

杉本、福田らを新型コロナ陽性で欠き、投手陣の踏ん張りを打線が援護できない展開が続いている。

ルール上のもやもや感も残っていた。8回は池田の代走小田がすぐさま二盗に成功。さらに捕手からの送球がそれ、中堅前へ転がる。小田は三塁に向かおうとしたが、ベースカバーの源田とぶつかり、やむなく二塁に戻った。

中嶋監督はすぐにベンチを出て、オブストラクション(走塁妨害)を主張した。だが二塁の梅木審判員は二塁ベースを指さしていた。場内アナウンスでは「ただいま小田選手に対してオブストラクションが発生しました。走者を二塁にとどめて、無死二塁で試合を再開します」と説明した。

無死三塁での再開を期待していた中嶋監督は「なぜ?」とポーズを作った。

オブストラクションについて記す野球規則6・01(h)には2項あり、1つは最低1個の安全進塁権を与えるもの。2つ目が、「妨害がなかったらどうなっていたか」を当該審判が判断するものだ。

梅木審判員は、接触がなくても三塁進塁は無理だったと判断。他の審判団も異議を唱えなかったことで、この第2項がそのまま適用された。中嶋監督にも同様の説明がなされた。

無死三塁なら得点のチャンスは大きく広がっていた。その後、2死満塁としたが外崎の好守に阻まれ無得点。痛い逸機となった。指揮官は「オブストラクションにも2つあるって言ってたんだけど…」と納得しきれない様子だった。

「もう1歩で勝ち越せない、同点にできない。その中で池田が打ってくれた。本当いい打撃だった。大したもんですよね」。高卒ルーキーが作った勢いだけに、悔しさが募った。

不満のタネはまだある。2回にバレラが、4回にはラベロが、微妙な走塁アウト判定に対して、リクエストをベンチに向かって「要求」してきた。結果どちらも覆らず、終盤にとっておきたいリクエスト権を早々と使い果たした。

「皆さんから『リクエスト』が来るもんだから。4回で使い切っちゃうじゃん。こっちは(戦略的に)いこうか迷っているのに…」

オブストラクション判定に対してリクエストはできないが、冗談まじりとはいえ、もつれた終盤にリクエスト権を使えないのは確かに不利になる。

両助っ人はともに打率1割台。バレラは一時同点打を含む2安打3出塁で内容もよかったが、ラベロは2本の併殺打など内容も悪かった。吉田正がこの10試合で打率5割6分3厘だけに、得点力アップを渇望する中嶋監督は「いつも打てるわけじゃない。つながってはいる。なんとか投手を援護したい」と切り替えを図った。【柏原誠】

○…山岡は7回1失点と好投したが援護に恵まれず、3勝目を逃した。山川から3打席連続でスライダーで空振り三振を奪うなど11奪三振、四死球なし。直球、変化球とも精度抜群だった。「全体的にはしっかりと操れるボールも多かった。7回まで粘り強く投げ切れたのはよかった」。19年から続く京セラドーム大阪での連勝は9のまま継続している。

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