最後の1球に先発投手の神髄がつまっていた。楽天涌井秀章投手(35)は9回2死二塁、7回にソロ弾を浴びたヌニエスを追い込んで6球目。外角高めの直球で空振り三振を奪い、114球目でこの試合最速の150キロをマークした。

「昨日、田中(将大)がすごい投球を見せてくれて。若いころ投げていたような気持ちになったので、自分も続けてよかったです」。最速球で最後を締めくくった。

チームを6連勝に導く2年ぶりの完投勝利。その味は「思った以上に球を操れていたので、投げていて疲れましたけど楽しかったです」が本音だ。直球主体もカーブでタイミングを外し、チェンジアップで奥行きを使った。6回、先頭万波に三塁打で1失点を覚悟したが、田宮を初球投ゴロに打ち取ると、リーグ首位打者の松本剛には「ロッテ時代からの対戦で、真っすぐの方が自分は抑えられるんじゃないかっていう頭だった」と全直球攻めで、ここも投ゴロ。自らの状態に経験則を掛け合わせ、ピンチを脱した。

こどもの日の前日での登板直前、4歳の長男から電話で「頑張れ」とゲキ。パパのテレビ中継を見ながらバットを振る息子からの言葉に「力をもらったのでそれがよかった」。自身3連勝で、史上33人目となる先発での通算150勝目。無四球で投げ抜いての節目の勝利に「今回の場合は疲れが目立つなと、正直」。3時間1分、終始張り巡らせた緊張を解き、勝利をかみしめた。【栗田成芳】

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