待ってました、おかわり君! 西武中村剛也内野手(38)が1-0の6回、ロッテ美馬から試合の流れを決める3ランを放った。打率1割台と苦しむ中、チーム33試合目&自身97打席目で待望の今季1号が飛び出した。5月5日のこどもの日の本塁打は5本目。通算13試合で46打数15安打の打率3割2分6厘、15打点と打っている。今年も詰め掛けた子どもたちを喜ばせ、勝率を5割に戻した。

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本人より先に周りが喜んだ。1-0の6回2死一、二塁。打った瞬間に確信させる中村の打球に、ベンチのチームメートたちは両手を挙げた。ダイヤモンドを1周した主砲をベンチの中ではなく、1歩出て、並んで待ち受けた。中村は「いつもと逆の手でハイタッチみたいな感じ。おかしなことになっちゃった」と、ほおを緩めた。みんなが待ち望んだ1発だった。

前の山川が申告敬遠されたが「僕が相手ベンチにいても敬遠させる」と意に介さなかった。1ストライクからフォークが浮いたのを逃さない。やっと出た当たりに「変な感じでしたね。ベースランの仕方とか、どうやって走ったかなと」と照れた。一塁を回るとき、歩幅が少し合わなくなりそうになった。

打率も1割台で「しんどかった」と正直に言った。ただ、直近3試合は安打を放ち、上向きの感触は持っていた。「何とか普通の打撃ができるように」。試合前の置きティーは、インパクトの形を確認しながら丁寧に振った。基礎を繰り返し、その時を待った。

直後の広報コメントは「いい場面で回ってきて、たくさんの子どもたちが応援に来てくれている中で打てて良かったです」。いつもは「打てて良かったです」とシンプルなだけに「長いコメント、してもうた」と笑った。息子からは「ホームラン、打って」と言われていた。巨人長嶋に1本と迫る通算443号で子どもたちの期待にも応えたが、最後は「今日は終わったので、また明日」ときっぱり。ヒーローは、もう次の戦いを見据えていた。【古川真弥】

▼中村がチーム33試合目、出場27試合目で今季1号。ケガで出遅れた13年の中村はチーム122試合目の9月10日ソフトバンク戦で1号を放ったが、その時の出場試合数は4試合目。出場試合数では、今季の27試合目が18年6月9日巨人戦の20試合目を抜いて最も遅い1号となった。

▽西武辻監督(中村の今季1号3ランに)「山川が歩かされた後、仕留めるのがすごい。1本出れば違ってくると思う。こどもの日。勝つこともそうだけど、山川と中村のホームランは絶対(子どもたちの)思い出に残るでしょう。最高の試合でした」

▽西武山川(8回にリーグトップを走るダメ押しの11号ソロ)「トノ(外崎)が前で(犠飛で走者を)かえしてくれたので、楽に打席に入れました」

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