ピンクの虎が「母の日」に逆転勝利を届け、鬼門バンテリンドームでの開幕連敗を5で止めた。

6球場で「NPBマザーズデー」として開催された一戦。2点を追う7回、不振で7番に降格した大山悠輔内野手(27)がピンクバットで同点の5号2ラン。8回は同じく“ピンク備え”の佐藤輝明内野手(23)の安打などから決勝点を奪った。7回以降に勝ち越し、逆転したのは今季37試合目で初めて。母への感謝を胸にさあ5月反攻だ。

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大山らしい豪快な弾道で白球が左翼席へ消えていった。一振りで2点差を追いつく5号2ラン。フルカウントから低めスライダーをとらえた。マウンド上の柳ががっくりとする中、ダイヤモンドを一周。矢野監督から虎メダルをかけられ、ロハスとエルボータッチで喜びを爆発させた。「純矢(西)が頑張っていてくれた。(スライダーは)頭にないことはなかった。同点に追いつけてよかった」。6回3失点で踏ん張っていた若虎の黒星を消し、8回逆転の流れを呼んだ。

「母の日」にちなみ、全6球場で開催された「NPBマザーズデー」。大山も1日限りの使用が許されたピンクバットで打席に立った。「今、野球ができていることを当たり前だと思わずに、常に感謝の気持ちを持っている。母親もそうだけど、いろんな方の支えがあってこそ」。リストバンドと手袋もピンクで統一。丈夫な体に生んでくれた母や、支えてくれる人たちへの感謝をバットに乗せた。

6連勝後の5試合は合計4得点。1試合平均で0.8点と打線が湿りまくって1勝4敗。大山も18打数1安打1打点だった。6番に降格した前日7日に20打席ぶりの安打となる適時打を放ったが、その後のチャンスで凡退。この日は開幕4戦目の3月29日の広島戦以来、31試合ぶりに7番まで下がった。「ここまでチームのためにできていなかった。切り替えないとやっていけないので、反省はするけど次の試合でとやっている」。秘めた悔しさをここ一番で爆発させた。

今季、6回終了時にリードされた試合は16戦全敗だった。8回にロハスの遊ゴロで勝ち越し、37試合目で初めて7回以降に勝ち越し、逆転勝ちした。連敗は2で止まり、鬼門バンテリンドームでの開幕からの連敗も5でストップ。10日から甲子園に戻って、打線復活といきたい。【石橋隆雄】

▼阪神はバンテリンドームでの開幕からの連敗を5で止めた。前日7日まで、シーズン初戦から5戦5敗。開幕からに限ると06年の6戦6敗がワーストで、並ぶことを免れた。

▼阪神が7回以降に3点を挙げ、逆転勝ち。今季6回までにリードを許していた16試合では全敗だった。同点に追いついたり一時的に勝ち越したケースもなかった。粘りに欠けていたチームが、ようやく終盤に競り勝った。

▼大山の「母の日」は不調や故障もあり、これまで出場わずか1試合でノーヒット。佐藤輝も昨季無安打で、ともにこの日が初安打だった。

○…岩崎が5セーブ目を挙げた。4-3の9回に登板。2死から鵜飼のゴロをファンブルして出塁を許したが郡司を遊ゴロに片付け、「勝つことができてよかったです」とお決まりのコメント。ここまで12試合に登板して1勝0敗、5セーブ4ホールド。開幕戦で1失点した後は全て無失点で、防御率0.79の安定感を誇っている。

○…アルカンタラが1回を無失点で今季初勝利を挙げた。同点の7回に登板し、安打と四球で2死一、二塁を背負ったが、三ツ俣を変化球で空振り三振。直後に打線が勝ち越した。「すごく幸せでうれしい。苦しい中でも勝ったのはいい勝ち方。母の日ですし、奥さんもお母さんとして頑張ってくれているので、いいプレゼントになった」とかみしめた。

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