ハマスタ大好き! 阪神佐藤輝明内野手(23)が昨年8月以来の1試合2本塁打と大暴れだ。

DeNA戦の3回に5月初アーチの8号ソロを放ち、6回も9号ソロ。横浜スタジアムで今季打率は驚異の5割で、3本塁打。得意舞台でチームを今季初の2試合連続2桁安打へと引っ張った。前回対戦で3連敗した借りを返し、5月初の連勝で5位DeNAと2・5差。最下位脱出が見えてきた。

   ◇   ◇   ◇

港町の風は心地いい。その風に乗って聞こえてくるファンの声もまた、格別だ。佐藤輝が横浜でヒーローになった。2点リードの3回。DeNA東の141キロを右翼席上段に持っていった。近大1年時の17年4月1日。大学デビュー戦は3打数無安打、2三振。その相手が立命大の3学年先輩の左腕、東だった。

「プロでリベンジできたのはすごいうれしい」。捉えたのは、しつように攻められてきた内角高め。今季9発のうち4発がそのコースを仕留めたもので、もはや「内角攻め」は苦にしていない。5月初アーチとなる8号ソロが、初対戦から1870日分の進化の証しになった。

「ちょっとありましたね、ホームランだけは負けてられないって」

脳裏に浮かんでいたのは、前日14日にプロ初2発を放った同期の中野。「僕を刺激しましたね」。“ちょっと”どころではない意識があった。6回の9号ソロで通算3度目、昨年8月以来の1試合複数本塁打。今季3発の中野とは再び6本差となった。お株を奪われてから1日。ホームランはやっぱり佐藤輝の象徴だ。

無類のハマスタ好き。昨季は特大の場外弾を打ち込み、今季は球場別トップの打率5割。「横浜のおいしい食べ物です(笑い)。納豆卵ご飯を食べています」。中華街でも赤レンガ倉庫でもない。宿舎で頬張る素朴なエネルギーチャージが、潜在能力を引き出してくれるという。

今季自身最長ブランクとなる12試合、52打席ぶりのアーチ。得意舞台をきっかけに量産の予感が漂う。昨年5月以来の1試合3発への期待が高まった5打席目は中飛に終わったが、「凡退してしまったので練習します」と反省も忘れなかった。チームは5月初連勝でDeNAに2・5差。最下位脱出へ「勝ちたいんや!」と声を張り上げ、帰りのバスに乗り込んだ。【中野椋】

▽阪神矢野監督(2本塁打の佐藤輝に)「1本目、あれをファウルにしない、仕留めるっていうことができたバッティング。2本目はテルらしい。誰でも波は多少あるけど、去年に比べたら本当にそういう部分では成長している」

○…5番大山が12試合ぶりのマルチ安打をマークした。3回に佐藤輝のソロの直後、東の142キロの直球を捉えて右翼線へ二塁打。攻撃をつなぎ、4点目のホームを踏んだ。5回は先頭で入江の直球を捉え中前に運び、こちらも梅野の犠飛で生還した。雨天中止の12日に井上ヘッドコーチは「やっぱり働いてもらわないといけない。スタメンはまだ続ける」と話しており、期待に応える仕事だった。

○…1番近本が先制の2点適時打で快勝への流れをつくった。2回2死二、三塁、東の144キロをはじき返し左翼へ二塁打。「(直前に)ウィルカーソンがきっちりバントを決めてくれましたし、なんとしても先制点を取りたいと思っていた」。5回の中前打と合わせ3試合連続マルチ安打で、打率を2割7分1厘まで上げた。

○…梅野が攻守で連勝に貢献した。4回2死一、三塁の守りでは、宮本への3球目に一走・牧がスタートを切ると「梅ちゃんバズーカ」で二盗を阻止。リードでも先発ウィルカーソンを6回1失点ともり立てた。打っては5回無死満塁で入江から右翼への犠飛。6試合無安打が続くが「最低限ランナーをかえすことができてよかったです」と胸をなで下ろした。

○…7番糸原が“ランニング本塁打”を含む3安打と気を吐いた。9回1死で山崎の2球目変化球を右翼へ。打球が右翼手のグラブ下を抜けて転がる間に大激走で本塁を陥れた。ランニング本塁打かと思われたが、右前打と敵失が記録された。それでも、2回の左前打、3回の適時内野安打と合わせ、今季2度目の猛打賞。二塁守備でも6回に難しい当たりをアウトにした。開幕から苦しんでいた男は「まだまだ試合あるので、まだ5月なので、しっかり状態を上げていけるように頑張ります」と反攻を誓った。

○…加治屋が完璧な火消しを決めた。8回1死二、三塁。右下肢の張りを訴えた浜地に代わって登板し、4番牧を空振り三振、5番宮崎も二ゴロに片付けた。「いつも任された場面でしっかり仕事ができるように準備しています。今日のような結果を続けられるように、できることを継続していきたい」。これで8試合無失点を続けている。

▼阪神佐藤輝が今季初の1試合2本塁打。横浜では今季5戦して18打数9安打3本塁打で打率5割と得意にしている。新人だった昨季も場外弾を放つなど2割7分6厘、2本塁打と苦にしていなかったが、2年目はさらに打っている。打者の指標のひとつOPS(出塁率+長打率)は10割超えで超一流と言われるが、横浜での佐藤輝は1.683と抜群。DeNAにとって佐藤輝は“ハマの脅威”となっている。

【関連記事】阪神ニュース一覧