今季最多の4発が出た前夜と同じチームなのか。阪神打線が一夜で沈黙した。3点を追う9回、抑えのマクガフから1死一、二塁と1発同点の場面を作ったが、糸井が二ゴロで糸原は三ゴロ。開幕44試合で早くも昨季に並ぶ11度目の完封負けを喫し、むなしくゲームセットを聞いた。

先発小川に7回0封され、前回3日の完封負けから16イニング連続で「0」を並べられた。矢野監督は「今日の方がよかった感じには見えた。コースにも来てキレもある。まあ、そんなことばかり言っても仕方がないんで」と苦虫をかみつぶしたような表情をした。小川には3回の8番投手ガンケルの左前打と4回の佐藤輝の右翼線二塁打の2安打に抑えられた。

今季のヤクルト戦は4勝8敗。うち6度が0封負けと「燕アレルギー」が深刻だ。井上ヘッドコーチは「打ち気を逆手に取られている。小川というより、中村(のインサイドワーク)にやられている気がする」と厳しい表情で言った。

守りのミスも響いた。7回2死一塁で、山崎の三塁前のセーフティーバントをダッシュで処理した佐藤輝が一塁へ悪送球。一気に一塁走者を生還させ、2点ビハインドにされる痛恨の適時失策となった。8回にも代打太田のゴロを一塁へ悪送球し、プロ初の2失策。矢野監督は「(7回は)流れの中でも大きな点になった。輝もこれから三塁をやるなら、セーフティーをやらせないという…。ポジショニングが深い。克服していくしかない」と厳しかった。深めの守備位置は前カードのDeNA戦からコーチ陣に指摘されており、防げた1点と言えた。敗戦後、背番号8は最後にベンチを出て悔しく引き揚げた。

借金13で首位ヤクルトとは10・5差。21日にも自力優勝が消える崖っぷちにだ。ふがいない敗戦に、車で帰路に就いた虎党が球場に向かって「矢野~やめろ~!」と大声で叫ぶ場面もあった。20日からは甲子園に戻り、交流戦前最後の巨人3連戦の正念場。矢野監督は「いいきっかけをつかんで交流戦を迎えたい」と懸命に切り替えた。3連戦は「大阪タイガース」の復刻ユニホームを着用する。先人猛虎の力も借りて、意地を見せたい。【石橋隆雄】

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