巨人が深夜の激闘を制して奪首した。延長12回までもつれ込んだ阪神との伝統の一戦を制した。序盤から緊迫した投手戦を展開。2点リードで勝利を目前にした9回2死にデラロサが痛恨の同点2ランを浴びるも、勝ち越し点は許さなかった。今季12球団最長の5時間3分。午後11時4分に決着をつけ、ヤクルトに1ゲーム差をつけて14日ぶりの首位に返り咲いた。

   ◇   ◇   ◇

バックスクリーン最上部の時計の針は、午後11時に差し掛かろうとしていた。原監督が最終回のマウンドに上げる投手戸田を球審に告げた。12回の攻撃で4点を勝ち越し、約4万人で埋まっていた敵地のスタンドは、内外野ともに空席が目立った。同6時1分のプレーボールから5時間3分。延長12回2死、阪神熊谷を空振り三振に片付け、三塁側ベンチ前からマウンドへのハイタッチの列をつくった。

引き分けで終われば取りこぼしの感が否めない一戦だった。8回無失点で好投した先発戸郷から9回は今村に継投。2死一塁、打者大山のところでデラロサをシフトした。カウント0-2と追い込んだ3球目、甘く入ったスライダーを左翼席に同点2ラン。土壇場で痛すぎる1発だった。

延長に入っても歯がゆい場面が続いた。10回1死満塁の絶好機は3番吉川、4番岡本和が凡退。重い空気がたちこめた。原監督が常々口にする精神の威力を発揮する。「毒を盛られても栄養にするぐらいじゃなきゃ、この世界は勝ち抜けない」。畠、高梨、平内、最後を締めた戸田が勝機までしのぎきった。

最終回は相手の失策と死球から4連打、打者10人でたたみかけて勝負を決めた。本拠地から移動してのナイトゲーム。4連勝で阪神戦の連敗も3で止めた。原監督は「野球というスポーツ、スポーツはみんなそうかもしれませんけれども難しいですね。でも、最後まで集中力を切らず、やり抜いてくれたというところにね。軍配が上がったかなというところですね」と評した。長い、長い、1日を勝ちきり、首位に返り咲いた。【為田聡史】