ロッテ佐々木朗希投手(20)が3日、巨人戦(東京ドーム)に先発する。この日は巨人がホームゲームのため、佐々木朗も打席に立つ展開になる。

印象的な表情がある。岩手・大船渡高3年時の19年4月21日のこと。高校生史上最速163キロを4月6日に出したばかりの佐々木朗は出力を抑えるため、登板を制限していた。

前日に仙台育英(宮城)との練習試合で変化球主体で75球を投げたばかりで、21日は早朝からナインとバス移動。岩手・宮古にある本州最東端の球場へ向かった。宮古高との練習試合ではプレーイングマネジャーのような役割で、仲間たちの戦いを見守っていた。カメラを構える記者も私1人だけ。どこにでもあるような高校野球の練習試合の風景だった。

試合はダブルヘッダー。1試合目、2試合目ともに最後に代打で出場した。1試合目はこすったような、変な回転がかかった内野フライ。打った瞬間に、笑って悔しがっていた。それもあってか2試合目は、右翼線に鋭いライナーを放つと、打った瞬間こそ「してやったり」の表情を浮かべたが、必死の形相で一塁へと膨らんだ。二塁打性の当たりで、三塁をうかがうかのような勢いで。

春先の、代打で出場するだけの練習試合。「大船渡の仲間と絶対に甲子園へ」と誓っていた本人としても、そこまで比重が高くなかった試合に思える。それでも、投げるだけじゃない。野球が本当に好きなんだな-。本州の隅で、私1人しかカメラを構えていないような試合で見せた、高校生史上最速右腕の本質。そのひたむきさで、どんどん伸びて、今の活躍は皆が知るところだ。

今日の巨人戦。投球はもちろん、どんな打席を見せるだろうか。カメラを持ってドームで観戦する人はぜひ、一塁へ走る表情にも注目してほしい。【ロッテ担当 金子真仁】