ラオウ復活! 交流戦首位打者に輝いたオリックス杉本裕太郎外野手(31)が、日刊スポーツに独占コラム「昇天連発」を特別寄稿した。第2回は、打撃不振を支えた今季チームスローガン「全員でW(笑)おう!」がテーマ。交流戦打率12球団トップの3割9分1厘をマークした主砲が、17日西武戦(ベルーナ)から再開するリーグ戦を前に、野球ファンに感謝の気持ちをお届けします。【取材・構成=真柴健】

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日刊スポーツ読者の皆さん、こんにちは! オリックスの杉本裕太郎です。いつも「ラオウ!」と温かいご声援を頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。本当に力になっています。

交流戦の最終打席でヒットを打つことができ、首位打者になることができました。9回2死から打席を回してくれた(中川)圭太に感謝しかありません。

シーズン最初の頃と比べたら、打撃の方も、全然マシになってきました。いやぁ…もう、ね。ホンマに打てなかった。たまにいい当たりでも、野手の正面。スタンドまで「行ったかな?」と思った打球もフェンス際で失速。野球が面白くなかったですね、正直に。

ただ、今年は秘策を用意してました。ヘルメットのつば裏に「全員でW(笑)おう!」のシールを貼ってるんです。開幕前に誰かが配っていたので、サイズ的にもいいなと。苦しいときも打席に入る前に、ちゃんと見て…。「楽しもう」「笑えるように頑張ろう」って言い聞かせてました。

でも…。さすがに自分の成績では笑えなかったです。打率が背番号99(4月22日終了時点で9分9厘)に並んだことも覚えてます。最近、やっとプロ野球選手っぽい数字に戻ってきて、笑えるようになってきました。もっと、笑えるように結果を残さないといけないですね。

僕は本当に仲間に、環境に恵まれてます。打てなかった時期も、ベンチでみんな励ましてくれた。監督、コーチが早出練習に付き合ってくれて、きっかけをつかんだ日もあります。朝から、中嶋監督がトスを投げてくれたり…。感謝しかないです。「まだまだ恩返しを-」と心から思っています。

人生、しんどいことばかりじゃありません。広島戦(6月4日)で森下くんからホームランを打てて、三塁側ベンチ前で、レフト上段席に向かって「昇天ポーズ」をすると、内野席に座っていた赤いユニホームの方々も、右拳を突き上げてくれていたんです。

セ・リーグは年間、数試合しか戦う機会がないのに…。僕は社会人時代(JR西日本)を広島で過ごした思い出があるので、かなりうれしかったです。カープファンって優しいなぁ、野球ファンって温かいなぁ…。「もっと頑張らんとな」って思った瞬間でした。

交流戦で頑張れた理由があります。自分の中で、コロナ感染前(開幕から4月26日まで)の成績はなかったことにしてました。隔離期間を終えてからが“再開幕”。だから、交流戦で結果が出ても、また一から。リーグ戦が再開する17日西武戦からも、また新しい気持ちで頑張ります。みなさん、一緒に昇天ポーズしてください! あの瞬間が、本当に幸せです!(オリックス・バファローズ外野手)

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