62年創部の大阪電通大が悲願の1部昇格を果たした。1勝1敗で迎えた入れ替え戦の3回戦で甲南大に競り勝った。同リーグが70年に2部制になって以降、初の1部昇格。

マウンドで声にならない声が上がった。選手たちの目には涙。今年1月に助監督から昇格したばかりの清田和正監督(52)は「感動しました。誰が打った投げたではなく、全員野球ができました」と満面笑みを浮かべた。

9回、1点差に詰め寄られ、なお一、二塁のピンチ。前日完封している江本裕輝投手(3年=枚方津田)が右飛にしとめ、苦しんだ末に歓喜の瞬間を迎えた。

勝てば大学の歴史が変わる一戦。0-0の6回、西川大地外野手(3年=秀岳館)が右越えに均衡を破る先制ソロ。初戦の2本塁打に続くアーチに3番打者は「ここまで来られた。みんなで一丸になれた。弱くてもみんなの力を合わせれば勝てることを証明できた」と喜びを爆発させた。

1-1の8回、西川の二塁打でチャンスを作ると、4番森広拓夢内野手(3年=比叡山)の中前打で再び勝ち越した。森広は「昨日からドキドキだった。気持ちが強い方が勝つと思っていた。ここまで4番の役割をできていなかったので、死球でもいいつもりで全打席、強い気持ちでいきました」と鋭く振り抜いた。

先発の小島遼太投手(3年=大阪電通大高)が制球よく打ち取り、7回1失点。初戦で初回に5失点して試合を壊していた右腕は「1戦目は僕のミスから負けた。取り返したかった。制球が持ち味なので、今日は低め、低めと意識した」と、疲労困憊(こんぱい)でも大一番で奮闘した。

4年生は半数がすでに引退。残っていた中角太陽主将(4年=比叡山)が清田監督に続いて胴上げされた。森広は「中角さんの存在が一番でかかった。自分たちで考えて、楽しく野球することがモットーですが、緩みそうなところで怒ってくれた。メリハリができました。サポートメンバーも役割を理解してくれて、チーム全体につながりがあった」と感謝した。

甲南大は6回に代打塩崎優内野手(3年=九州国際大付)の中前打で1-1とした。9回も2死から1点返す粘りを見せたが、あと1点届かなかった。

大阪電通大は2部東リーグで13季ぶり3回目の優勝。入れ替え戦出場決定戦では2部西優勝の追手門大を2勝1敗で下した。

17年に大学の強化指定クラブに認定され、18年に現阪神2軍投手コーチの江草仁貴氏(41)をコーチに招いて、強化を進めた。昨年は春秋とも2部東リーグ2位だった。部員92人。