8回2死まで…。先発松本航投手(25)がノーヒット投球を演じた。

ロッテ荻野貴に左翼線二塁打を許し、今季5人目という快挙は、惜しくもならず。ただ7回2/3を1安打無失点の投球で4勝目を手にした。3日前にオリックス山本にノーヒットノーランを喫した打線は6回まで、小島に無安打に抑えられるも、終盤に3得点。勝率5割に復帰した。

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また出るのか…。残り4人。8回2死。すでに今季はノーヒットノーランを4人が達成している。それだけに期待感が充満した。松本は試合前、辻監督に、どんな時でも「絶好調です」と伝えている。ただ、この日は、その言葉に偽りなかったよう。求める「強いボール」で、打者を押し切っていた。

「H」のランプがともらないまま、淡々と快投を続けた。「意識せずに投げていました」。ただ、試合中盤からベンチで源田からの目線がチラチラ。球界屈指の名手から愛のまなざしが…。快挙への“プレッシャー”には「いつか打たれるので」と返し続けて、平常心を保った。

その「いつか」は109球目。荻野への初球。真ん中付近に吸いこまれたカットボールを左翼線への二塁打とされた。「初球をすーと入ってしまったのが、本当に悔しかった」。その直後、ベンチから辻監督が出てきた。松本はマウンドに集まった源田ら内野陣と笑いながらグータッチした。交代を告げられ、少し悔しそうにベンチに戻った。淡々と「0点で帰ってこようと思って投げていた」と振り返った。

5月12日に発熱により登録抹消。体力を戻す段階の中で、周囲の意見に耳を傾けた。その1つが課題だった「立ち上がり」の改善。試合前のウオーミングアップではダッシュの休憩を短くし、心拍数、息が上がる状態をあえて作るように。「落ち着いて投げられるようになった」。逆境の中で新しい発見をした。

実は辻監督は、むしろ6回まで不安が先行していた。「3度目ならないようにしなきゃと。そっちが頭をよぎったね。本当に」と苦笑い。というのも、打線も6回までロッテ小島の前に無安打。つい3日前のオリックス山本など、今季は2度のノーヒットノーランを献上。7回に3安打で1点を奪い、やっと心配が消えた。逆に期待となった。

ゲーム差1・0で3位争いするロッテの22日先発は佐々木朗。だからこそ絶対に落としたくなかった。松本は4月20日にもロッテに残り8人まで無安打投球をしていた。またも快挙はならずも、価値ある1勝をもたらした。【上田悠太】

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