かつての甲子園球児が、球児たちの熱い夏に負けない熱い一打を放った。ロッテは2試合ぶり今季3度目の4番に座った安田尚憲内野手(23)が決勝点となる先制打。3回2死一、二塁でソフトバンク大竹耕から右前打を決め、11安打8得点の口火を切った。首位相手に大勝し、4位に浮上した。安田の母校・履正社は7月18日に夏の大阪大会初戦を迎える。「打倒・大阪桐蔭」に燃える後輩たちへのエールともなる白星だ。

   ◇   ◇   ◇

4番が嫌な流れを断ち切った。ロッテは3回、無死一、二塁の先制機をつくったが、角中がバント失敗の末に空振り三振。続く中村奨は初球を打ち上げ遊飛に倒れた。初回、2回も先頭が安打で出ながら後が続かなかった。三たび0点か…。ここで安田が発奮した。1ボールからの2球目、大竹耕の136キロを右前へ。先制打に「前の打席でやられていたので、しっかり結果を出せて良かったです」と胸を張った。

首位をいく強敵相手に11安打8得点で大勝した。その口火を切った安田が、この夏、気にかけていることがある。母校・履正社だ。もちろん、常に気にしているが、今年は特別。「新体制になった。監督は、ずっと3年間、担任をやってくださった先生なんです」。今春、お世話になった多田晃監督(44)が就任した。

後輩たちは7月18日に初戦を迎える。目指すは、19年以来の夏の甲子園。そこに至るには、強敵・大阪桐蔭が立ちはだかる。安田は「それは、もう、これまでも、これからもずっとそうだと思う。そこを超えないといけない。頑張って欲しいです」と願った。自身も3年センバツ決勝、そして3年最後の夏は府大会準決勝と、大阪桐蔭に苦杯をなめた。ただ、こうも言った。「桐蔭は、すごくいいチーム」。力を認めるからこそ、倒す意味がある。

変則カードの初戦をとり、4位に順位を1つ上げた。だが、まだBクラスにとどまる。05年以来のリーグ優勝へ、強敵を倒す。後輩たちの模範となる。【古川真弥】

▽ロッテ井口監督(シーズン折り返しの一戦を勝ち)「チーム全員、調子を上げていかないと。個々の成績がチームに直結してくると思うので、この後もしっかり、残り半分しっかりできるように頑張っていきたい」

▽ロッテ・ロメロ(7回4安打無失点で6勝目)「変化球と直球を、うまくミックスできた。チームメートも、たくさん点を取ってくれた。首位相手にいいピッチングをして、勝ちにつながり本当に良かった」

【関連記事】ロッテニュース一覧