打ち疲れなんてありません! 阪神打線が電光石火、初回6球で先取点を奪った。先頭の中野拓夢内野手(26)が巨人先発シューメーカーの初球をとらえて二塁内野安打。続く島田海吏外野手(26)も初球を中前へ運んで無死一、二塁。ここで3番近本光司外野手(27)がカウント1-2からのストレートを逆方向へ打ち返し、左前に運んだ。中野が二塁からホームイン。わずか数分、鮮やかな3連打で巨人の出ばなをくじいた。2年連続最多安打へ、リーグトップの106安打を放つヒットメーカーも充実の表情だ。

近本 僕はそのときに回ってきたら仕事をするだけなんで。それがヒットになったのでよかったかなと思います。先制って大事ですよね。

前日13日は19安打13得点で大勝した。阪神が13得点以上した試合の次戦は、直近10試合で3勝7敗。19安打以上の次戦では4連敗中と打ち疲れが心配されていた。そんな「大勝、猛打の次戦は打てない」という球界のジンクスを吹き飛ばし、チームを元気づける3連打だった。

4回には梅野に、7回にはロハスに久々のアーチも飛び出した。先制、中押し、ダメ押しの理想的な展開で、伊藤将の完封劇をアシストした。

13日に大山が、この日は坂本が新型コロナの濃厚接触者として離脱。マルテも故障でわずか1日で抹消された。厳しい状況だが、勝負の9連戦でまずは巨人に勝ち越した。

近本 いつ誰がどうなるかわからないんで、そのときに選手が、その時の役割を果たすだけだと思う。

頼れる3番が真夏もヒットを量産して反攻を引っ張る。【高垣誠】

 

○…矢野監督はナインにハッパをかけた。マルテがわずか1日で再離脱。前日の大山に続き、この日は坂本も特例2022の対象選手として出場選手登録を抹消された。指揮官は「全員で乗り切るしかない。ある意味、全員が出られるチャンスはあると思う。そういうところは意気に感じながらやっていってもらったら」。ピンチをチャンスに変えろと号令を掛けた。

○…佐藤輝が軽快な三塁守備で先発伊藤将をもり立てた。2点リードの7回表1死一塁。大城の三遊間への当たりに腕を伸ばし好捕。二塁送球でピンチの芽を摘んだ。一方、打撃では先発野手唯一の無安打。甲子園では4月15日巨人戦でアーチを放ってから、32試合本塁打が出ていない。大山、マルテを欠く現状、4番として持ち前の長打力を発揮したい。

○…ロハスは仲間の優しさをダメ押し弾につなげた。4回無死一塁では三振ゲッツーに倒れたが、2点リードの7回に4号右越えソロ。4月22日ヤクルト戦以来となる久々の1発に、お立ち台で「スミマセン!」と日本語で謝って笑わせた。前日13日に岩崎から韓国リーグ時代の本塁打集を見せてもらい、岩崎と梅野の2人から「このイメージで」とアドバイスを受けたという。糸井からも「絶対に打てる」と背中を押されていたそうで「チームメートのためにも打ててうれしい」と喜んだ。

○…6年目の糸原が通算618試合目で初めて一塁でスタメン出場した。前日13日に大山が新型コロナの濃厚接触者となって離脱。この日はマルテが右脚の張りで再離脱し、前夜の巨人戦の途中出場で初体験したばかりの一塁で先発した。ゴロをさばく機会はなかったが、8回裏に代走を送られるまで無難に送球を捕球。矢野監督は「シーズンに入ると、予期しないことがいろいろ起こる。なるべく準備できる環境を作りながら選手を送り出すことが必要」と先を見据えた。