阪神が2位巨人を連倒し今季最小の1・5ゲーム差まで最接近した。ヒーローは完封で6勝目をマークした伊藤将司投手(26)。球団左腕で巨人戦の2試合連続完封は、1969年(昭44)江夏豊以来53年ぶりの快挙だ。自己最多9奪三振のおまけもつけ、甲子園では1年間負けなしの8連勝。江夏の再来を思わせる安定感抜群の左腕が、ネバーギブアップのシンボルだ。

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伝統の一戦のマウンドを、また最後まで堪能した。3点リードの9回2死。伊藤将は重信を低めのカットボールで二ゴロに沈めた。梅野と爽やかな笑顔でハイタッチ。昨季4試合に先発し、1勝3敗と苦しんだ宿敵に、球団左腕では69年江夏豊以来、53年ぶりとなる巨人戦での2試合連続完封を決めた。「江夏さんですか? うれしいです」と会心の笑みがはじけた。

「まさか巨人に2回も完封できるなんて思ってもいなかった。伝統ある試合でこういういいピッチングが出来たので良かったです」

中11日。テンポよく両サイド低めに徹底してボールを集めた。140キロ台中盤の直球とツーシームを軸とした投球で、巨人打線に的を絞らせない。連打で2死二、三塁とされた4回のピンチを1球で脱し、5回以降は二塁を踏ませなかった。本来の打たせて取るピッチングに三振も重ね、自己最多を3つも上回る9奪三振の量産ぶり。「梅野さんの配球通りに投げて、あとはストレートを両サイドに投げきることができたのがよかった」と充実の汗だ。

「3秒」の意識改革が、2年目の進化をもたらしている。今年1月、憧れだった阪神OBのオリックス能見に弟子入り。真っすぐの大切さや新球フォークを学んだ他に、長いイニングを投げる秘訣(ひけつ)を吸収した。「三振をバンバン取るというより、アウトとの取り方だったりを工夫すれば、野手とのリズム感をつかみやすい」と助言をもらったという。

投球間隔のテンポを昨季と比べて平均で「3秒くらい」縮め、持ち味の打たせて取る投球に磨きをかけた。「能見さんから『自分の投球スタイルを継続できるように』と助言をいただけた。1人で淡々と投げるより、野手と一緒に守っていった方が、流れもつかみやすいし、野手も守りやすい」。バックを信じ、全員野球で勝利をつかみ取った。

甲子園での先発は1年負けなしの8連勝。チームを4位タイに浮上させ、2位巨人にも1・5差まで最接近させた。次戦は22日からのDeNA3連戦(甲子園)の先発に回る見込み。江夏再来を思わせる安定感抜群の左腕は、猛虎の逆襲に欠かせない。【古財稜明】

○…青柳が15日の中日戦(甲子園)で2年連続の2桁勝利を目指す。相手は最下位で今季3度目の対戦となるが、まだ勝ち星がない。直近2試合で2安打ずつされている大島の名前を挙げ、「ミート力がある大島さんに対して、どう攻めるのかがポイントになる」と引き締めた。勝てば両リーグ最速の10勝一番乗り。「あくまで目標は15勝と掲げているので、通過点だと思っています」と冷静だった。

○…新外国人のアデルリン・ロドリゲス内野手(30=パドレス3A)が、15日のウエスタン・リーグ中日戦(鳴尾浜)で初実戦に臨む。期待の大砲は「久しぶりの実戦になるので、試合勘や打撃のリズムを確認したい」と腕まくり。井上ヘッドコーチは「そこでいい形でアジャストしてくれれば『じゃあ(1軍で)いこうよ』となるかもしれない」と説明した。この日マルテが右脚の故障で3度目の離脱となっており、内容次第で早期の1軍昇格もありそうだ。

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