難関を破ったのは、18歳の観察力だった。ロッテ松川虎生捕手(18)は試合後、振り返った。

「1回、ああいう形で攻めた結果があそこにポテンで1点入りましたけど、そのあと清水バッテリーコーチに『カーブとスライダーを軸にストライク先行でいこう』と言われたので。デスパイネの時も内角のツーシームを使いながら、最後はカーブで三振とれたのかなと思います」

前日17日、勝利へ進む中の8回、オスナがソフトバンクの4番デスパイネに痛恨の同点弾を浴びた。その後、延長戦の末に敗退。この日も1点差で進み、当然のようによぎる場面だ。

カーブは「すごく縦に入ってました。風もありましたし」と松川は言う。その緩い球を、デスパイネへの勝負球に選んだ。「その前の反応を見て。フォークが抜けるのが怖くて、引っかけたフォークを普通に見送られたので。カーブの低めで勝負しようかなと」。本塁打だけは避けたい場面で、危機察知能力を最大限に働かせた。

要求通りに投げきった美馬学投手(35)にとっても「デスパのカーブとか、僕の中では考えてなかったんで。ここでカーブ使うんだと。本当によく(打者を)見ていたんじゃないかなと思う」と驚くべき配球だった。

美馬はここ2試合、計11失点と打ち込まれていた。開幕後、17歳年下の松川とずっとバッテリーを組む。配球を考え込む傾向がある美馬に対し、テンポ良く進める松川を、あえて首脳陣が組ませた。負けが続き、勝ちが続き、また負けだしていた。「投げたくない球もたまにあったりするんですけど、それが今日はなかったし。自分のことも相手のこともしっかり考えてリードしてくれたと思います」。共同作業でつかんだ5勝目を喜んだ。【金子真仁】

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