阪神梅野隆太郎捕手(31)が攻守に大奮闘し、4日ぶりの3位再浮上を導いた。

打っては2回に先制決勝タイムリー。受けてはウィルカーソンら5投手を好リードし、13度目の完封勝ちをアシストした。敵地広島では今季7戦目の初勝利で、借金は開幕2戦目以来の2まで減らした。前半残り4試合。開幕17戦1勝と歴史的な低迷を喫した虎に、球宴前5割ターンがはっきり見えてきた。いや、4戦全勝の貯金2も夢じゃない。

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虎の背番号2が、マツダスタジアムで躍動した。0-0の2回。佐藤輝、大山が連続三振したが、見せ場はここからだ。北條四球、陽川右前打で一、三塁。そして梅野だ。カウント2-1から甘く入った床田の変化球を逃さない。会心の右前タイムリー。5月27日の敵地ロッテ戦以来、52日間も勝ち星に飢えていたウィルカーソンに、女房役が先制点をプレゼントした。

「なんとか自分で点を取って決めないと、という気持ちが、結果として最高な先制点になったかな」

打線を組み替えた矢野采配に応えた。床田とは今季5度目の対戦で、前回こそ初黒星をつけたが、1勝3敗と不得手な相手。そこでこの日も野手8人中、5人の右打者を並べ、2回は右の北條と陽川で作ったチャンスだった。梅野はマツダスタジアムで今季打率5割7分1厘の好相性。矢野監督も「2アウトから、リュウ(梅野)が打ってくれていい1点が取れた」とたたえた。先発野手の右打者5人全員が床田から快音を奏で、苦手意識も完全に払拭(ふっしょく)した。

守備でも好プレーが光った。2点リードの5回に先頭の会沢に右前打を許し、続く床田の打席。送りバントを試みた捕手前の打球に素早く反応し、二塁へ矢の送球。捕ゴロ併殺を完成させ、反撃の芽を摘み取った。「とにかく刺しにいくことだけを考えて、良い判断で良い送球ができた。チーム的にもすごく大きかったんじゃないかなと思います」。持ち味発揮に梅ちゃんスマイルがこぼれた。

受けてもウィルカーソンら5投手を好リードし、13度目の完封勝ちを演出、7戦目で敵地広島での初勝利もつかんだ。梅野も「長かったかな、相当」とほっとひと息。雨天中止の次戦は今季4戦4勝で“雨上がりに強い虎”を印象づけた。

5位だった順位も4日ぶりに広島と並ぶ3位に浮上。借金も開幕直後以来の2まで減らし、史上3球団目の5500勝に王手をかけた。「チームにも大きな1勝。1勝がないと2勝目はないので積み重ねていけたら」。前半戦は残り4試合。3勝1敗で借金完済だが、全勝なら貯金2で折り返せる。開幕17戦で1勝しかできなかった虎が、大変身の進撃だ。【三宅ひとみ】

▼阪神が今季マツダスタジアムでの広島戦で、7試合目にして初勝利を挙げた。シーズン初戦から5敗1分けと苦戦。広島の本拠地では、広島市民球場時代の75年に記録したワースト記録の開幕7戦勝ちなし(6敗1分け)に並ぶことは免れた。

▼今季雨天中止の次の試合では4戦4勝。昨年9月3日巨人戦、同18日中日戦と合わせ、2年越しの6連勝だ。

▼阪神は広島と並び3位に浮上。15日以来4日ぶりだ。20日に阪神○でDeNA△または●、阪神△でもDeNA●なら2位に進出する。

▼これで阪神は球団創立5499勝。巨人、ソフトバンクに続きプロ野球3球団目の通算5500勝に王手をかけた。

○…阪神は足攻めで2点目をもぎ取った。3回無死一塁から52試合ぶりスタメンの2番熊谷が、床田の2球目内角球をバスターエンドラン。左前に落とすと、一走・中野が三塁ヘッドスライディングで一、三塁とチャンスを拡大した。直後に3番近本の投ゴロの間に2点目が入った。矢野監督は「タカヒロ(熊谷)とかね、作戦もうまく決めてくれた。いい形で、(梅野の先制打を含めて)いい2点やったんちゃうかなと思います」と躍動したナインをたたえた。

○…佐藤輝が意地のHランプをともした。2打席凡退で迎えた6回1死、右前打で出塁。床田の暴投の間に二塁を陥れ、その後北條の適時打で生還した。今試合前まで13打数1安打と苦手としていた床田から2試合連続安打をマークし勝利に貢献した。一方で、13試合連続ノーアーチ。球宴まで残り4試合、そろそろ豪快なアーチが見たい。

○…北條が追加点をたたき出した。6回2死二塁、フルカウントから床田の低め142キロに食らいつき、三塁線を破る適時二塁打で3点差に。2回は2死から四球で出て先制のホームを踏んだ。2戦ぶりのスタメン起用に応え「仕事しないと、やっぱり。結果残せなかったら終わりと思ってやっていますし。そういう部分では打ってやろうという気持ちは強いです」と汗をぬぐった。

▽阪神大山(1軍復帰戦で4打数1安打)「まずは今日勝てたことが何よりです。これからも頑張ります」

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