ヤクルトを粉砕する鮮やかな放物線だった。8回だ。阪神大山悠輔内野手(27)が代わったばかりの今野の初球、低めの直球を豪快にすくい上げた。衝撃音とともに白球は高々と舞い上がり、左翼席に吸い込まれた。「一発で仕留められてよかった。野球は一発逆転がある。何点あってもいい。そういう意味ではいい1本だった」とダメ押しの21号ソロを喜んだ。

祝砲だった。「北條の誕生日なので、何とか1本と思っていきました」。同い年のチームメートは28歳になった。近本や藤浪らチームを背負う世代で、固い絆が勝利の原動力だ。初回には1点先制しなおも1死二、三塁の場面で、詰まりながらもしぶとく中前に落とす適時打で2点目を奪った。

21本塁打、69打点はチーム2冠。矢野監督は「悠輔(大山)の本塁打、打点はチームに直結するところ。(8回は)素晴らしい本塁打だった」と頼れる主軸をほめた。新外国人ロドリゲスが一塁のスタメンに入り3戦目、一塁から左翼にまわった大山にも3戦目でようやく安打も本塁打も飛び出した。

この日からの3連戦は「夏休みこどもまつり」として開催。スタンドにはたくさんの子どもの姿があり、21号ソロのホームランボールもグラブ持参の子どもがキャッチし大喜び。「僕が小さいときに見たプロ野球はキラキラしていた。そういうのを覚えているので、みんなに覚えてもらえるように」とやさしい顔になった。豪快なアーチ、白星、そしてお立ち台での「まだまだシーズンは終わっていないので、一緒に頑張りましょう」。残り48試合、大山の言葉に、虎党は夢を託す。【石橋隆雄】

○…北條がいぶし銀のプレーで自らの誕生日を祝った。7回無死一塁で代打で登場。バントから一転、バスターでコールの直球を左前打とした。得点には結びつかなかったが、相手にプレッシャーをかけた。矢野監督は「北條は誕生日でしょ? 誕生日でバスターでヒットって忘れられないんじゃないかな。選手それぞれがいい攻撃をしてくれたと思います」と笑顔だった。

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