村神様が真夏の夜の正夢で日本一ヤ!! ヤクルト村上宗隆内野手(22)が、プロ野球新記録となる5打席連続本塁打を放った。

まずは1回2死、中日柳から右翼席上段へ38号ソロを放ち4打数連続の日本記録に並ぶと、3回1死一塁、同じく柳から左中間にシーズン自己最多タイとなる39号2ランを放り込んだ。7月31日の阪神戦(甲子園)での3打席連続本塁打から2試合にまたがっての5打数連発を達成。プロ入り5年目、熊本出身の若きスラッガーが、球史にその名を深く刻んだ。

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力と技の歴史的2発で、村上が名だたるホームランアーチストの頂点に立った。まずは第1打席。カウント2-1からの4球目、真ん中に甘く入った109キロカーブを強振。打った瞬間それと分かる当たりにベンチに向かってポーンとバットを放り投げ、悠然とダイヤモンドを周回。「本当に今年一といっていいくらい完璧なホームランでした」と自画自賛した。

さらには2点リードの3回1死一塁。フルカウントからの6球目は外角の130キロチェンジアップ。タイミングを外されながら、ほぼ右手1本で捉えた打球は左中間席へ。「体勢を崩されながら、いいフォロースルーといい押し込みで打てた」という技ありの1発。感嘆とため息が入り交ざった歓声の中、再びダイヤモンドを1周。球団マスコットつばみから花束を贈られると、ファンの拍手喝采に帽子を取って応えた。王貞治らを上回る大記録に「実感はまだわかないですけど…そうっすね。それだけすごいことができたんだと…」と振り返った。

後半戦最初の本拠でお立ち台に上がると「今日、夢でホームランを打つの見たので、もしかしたら打てるんじゃないかなと打席に立ちました」と“正夢弾”だったことを告白した。「打てるかなと思って球場来たので、誰にも話さなかったです」とニヤリ。「5打席目は見ていないです」と夢には見ていない5打席連発まで実現してみせた。

7月。コロナ禍に苦しんだチームの中で、開幕からただ1人先発出場を続け、不動の4番として燕ファミリーを支えてきた。「すごく苦しくて、いろいろな感情も持ちましたけど、今日こうしてちょっとご褒美かなというふうに思いました」。6回無死の第3打席は二塁打で記録更新こそ途絶えたが、8月最初の試合で2発。95試合で39本塁打はシーズン58発ペースで、王貞治の55発を上回り、バレンティンの日本記録60発も視界に入る。シーズン前から「とれるものは全部とりたい」と話していた村上。令和初の3冠王に輝く夢を見て、それが現実になる日も近いかもしれない。【鈴木正章】

▼村上宗隆が7月31日阪神戦の第3打席から5打席連続本塁打のプロ野球新記録。これまで連続本塁打の記録は20人、21度がマークした4打数、四死球を挟まない連続打席では13人の4打席で、村上が「打数」と「打席」の両方を更新した。 30日からの本塁打は1本→3本→2本の合計6本となり、3試合以内で6本の固め打ちは16年7月筒香(DeNA)以来8人目だ。 これで村上は早くも昨年に並ぶ自己最多の39本塁打。40本の最年少記録は63年王(巨人)85年秋山(西武)の23歳シーズンで、40本の最速記録は66、67年王、85年バース(阪神)のチーム97試合目。現在、22歳でチーム95試合目の村上が40本の最年少と最速記録を狙う。

◆村上宗隆(むらかみ・むねたか)2000年(平12)2月2日、熊本県生まれ。九州学院では1年夏に甲子園出場。17年ドラフト1位でヤクルト入団し、捕手から内野手に転向。18年9月16日広島戦でプロ初打席本塁打。19年は36本塁打、96打点で新人王。20年に最高出塁率。21年は本塁打王を獲得し、史上最年少でMVPに輝いた。同年は東京五輪日本代表として金メダルに貢献。188センチ、97キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸2億2000万円。

▽ヤクルト高津監督(村上の5打席連発に)「自分のスイングが出来るよね。片手で打ってみたりとかも、あれも彼のスタイルというか、飛ばせる技術の1つなのかな。入ってきたときから、やっぱりこいつはただものじゃないと思っていた。ここまで来るのは想像してました。今もまだ成長過程だと思っているので」

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