西武ルーキーの隅田知一郎投手(22)が約2カ月ぶりに1軍のマウンドに帰ってきた。2番手で3回1/3を2安打無失点に抑えた。

「1イニングずつ集中した結果として、3イニングちょっとを投げることができたのは良かったです。これからも、ファームで積んできた地道な練習をおろそかにせず、もっともっとパワーアップしたいです」。そう振り返った。

出番が想定より早く回ってきた。先発平井が4回持たずに5失点でKO。2点を失って、なおも続く4回2死一、二塁のピンチ。そこで名前を呼ばれた。「結果を気にせず投げてこい」と豊田投手コーチから送り出された。駆け足でブルペンからマウンドで向かった。

プロ初となる中継ぎ登板でもあった。打者は3番牧原大。1球目はフロントドアの122キロスライダーでストライクをうまく取った。2球目は外角低めの133キロカットボールで空振りを奪って、追い込んだ。球にはキレがある。遊び球はいらない。133キロスプリットをストライクからボールに落とすと、バットは空を切った。3球三振。最高の火消しをした。その後も続投した。5回、6回、7回も無失点に抑えた。ピンチの火消しだけでなく、ロングリリーフもこなした。

4球団競合の末に入団したドラフト1位。開幕2戦目では7回を1安打と鮮烈なプロ初勝利を飾った。ただ、以降は先発で10試合連続で白星に恵まれなかった。試合前まで11試合先発で防御率は3・19。しかし、打線の援護にも恵まれず、1勝7敗。その後、ファームで再調整となった。「レベルアップしたい」。そう心に強く誓い、地道に練習を繰り返した。さらに1軍復帰の見通しが立っていた7月にはコロナの陽性判定も重なった。

6月9日以来となった1軍で与えられた役割は、先発ではなく中継ぎだった。ただ、新たな場所で存在感を示した。

○…首位攻防戦に2連勝とはならなかった。先発平井が4回途中5失点とリズムに乗れなかった。ただ敗戦の中で光明もあった。ドラフト1位のルーキー隅田が2番手で3回1/3を2安打無失点。2カ月ぶりに1軍復帰し、先発から中継ぎの役割となった左腕が頼もしかった。辻監督は「いいものを持っているから。気持ちが出ていた」と高く評価した。

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