救世主や! 阪神西純矢投手(20)が5回2失点の力投で4勝目を飾り、チームの連敗ストップに大きく貢献した。約1カ月半ぶりの1軍戦先発。感情を前面に出し、気迫の投球でヤクルト打線をねじ伏せた。責任投球回を投げきり、待望の勝利をものにした。

「(チームの)流れは悪かったかもしれないですけど、ずっと1軍にいたわけではないので、あんまり僕自身は関係ないと思って。自分が元気出して、明るい雰囲気を持ち込めたらなと。その中で自分の投球を心がけました」

抜群の立ち上がりで味方に流れを引き寄せた。「感覚はよかった」と、キレのある最速153キロ直球を軸にテンポよく投げ、2回を1安打無失点。3回にロハスが先制3ランを放つと、両手でガッツポーズをしながら跳びはねて喜んだ。

5回は不運な形でピンチを背負ったが、踏ん張った。先頭サンタナのフライを右翼佐藤輝が二塁山本と譲り合う形で捕球できず。先頭から4連打を浴び2点を失った。しかし1死から塩見を152キロの内角直球で見逃し三振、山田も内角152キロの直球で右飛に仕留め、2失点にとどめた。「(坂本)誠志郎さんのリードが全て。強気で行く場面だったので、(サインに)応えられてよかった」。

矢野監督は「またコロナで先発も苦しいんで、『純矢に頑張ってもらえたらな』っていうような投球をしてくれた」と評価。また、5回をターニングポイントに挙げ「あれ(サンタナの打球)はテルが絶対に捕らないといけないプレー」と厳しく指摘し、「そこを2点で止めてくれたっていうところが、オレの中での大きなポイントだった」とうなずいた。

ヤクルト戦はプロ初勝利を挙げた昨季5月19日、プロ初完投&初アーチを放った今季5月18日に続き、3戦3勝だ。「やっぱりキーになる選手なので、より一層の気合を入れて投げました」と、山田を無安打、村上を1安打に抑えた。若き虎のホープが、どん底に沈みかけていたチームに希望をもたらした。【古財稜明】

▽阪神矢野監督(西純について)「あの(5)回も2点で何とか粘ってくれたんで、それは大きかったと思うし。またコロナで先発も苦しいんで、『純矢に頑張ってもらえたらな』っていうような投球をしてくれたのでよかったなと。ひとまず安心しています」

○…岩貞は自己最速154キロを3度計測した。2点リードの6回裏に登板。先頭3番青木への3球目に自己最速を1キロ更新した。最後はフルカウントから外角低め154キロが外れて四球。それでも無死一塁、4番村上にも154キロを計測した後、スライダーで見逃し三振に仕留めた。「(西)純矢が気持ちの入った投球をしてくれて、チーム全体にもそれが伝わっているような試合展開だった。自分も攻めの投球を心掛けました」。主砲を封じて勝利を呼び込んだ。

○…3番手の加治屋はピンチで踏ん張った。2点リードの6回1死一塁で登板。5番サンタナから外角148キロで見逃し三振を奪った後、6番中村に死球を与えて一、二塁。ここで7番オスナをフォークで空振り三振に仕留めた。「連敗が続いていたので、絶対にリードを守って後ろにつなげるという気持ちでした。自分の投球ができた」。ブルペン陣に欠かせない存在となりつつある。

▽阪神湯浅(母校の聖光学院の春夏初の4強進出に)「毎試合しびれる試合ばかりで、すごく刺激になっています。これからはさらに厳しい試合が続くと思いますが、聖光学院らしい泥臭い野球で、優勝を目指して頑張ってほしいです」

○…西勇が9勝目を目指し、19日巨人戦(東京ドーム)に先発する。今季2度目の対戦で、前回7月13日は8回無失点の好投で勝ち星を手にした。常に「中継ぎを助けたい気持ちでマウンドに上がっている」と話す球界屈指のイニングイーター。先発の役割を全うし、苦境のチームを救う。

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