巨人戸郷翔征投手(22)が、プレーボール奪三振ショーの快投を演じた。初回先頭からプロ野球記録にあと1に迫る6者連続三振をマーク。同点の5回には自らのセーフティースクイズで決勝点を挙げた。負ければ最下位の中日に0・5差に迫られる状況で、8回11奪三振1失点の好投。昨季まで2年連続9勝止まりだった若き右腕が中日高橋宏との投手戦を制して11勝目を手にし、チームに3カードぶりの勝ち越しをもたらした。

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空を切るバットが戸郷を乗せた。らしさ全開のテンポの速い投球で、中日打線を手玉に取る。初回先頭から次々に奪った三振は6連続に達した。

2回2死。カウント2-2から福田を137キロフォークで空振り三振にすると、さっそうとマウンドを降りた。6連続のうち決め球はフォーク4つに、直球とスライダーが1つずつ。3番阿部以外の5つは、空振り三振に斬って取った。

1956年3月27日広島戦で、阪神小山正明投手が達成した初回先頭からの連続三振記録「7」が懸かった3回先頭の土田には、三振を意識した。すると投手強襲の内野安打とされ「何個までいけるか挑戦したかったけど狙いに行ったら(打球が)足に当たったので、真面目に投げようと思った」と笑った。

8回121球を投げ、6安打11奪三振1失点。奪三振は123個でリーグトップだ。「ボールが転がれば何かが起こる。それより三振の方が楽にアウトを稼げる」とこだわりがあった。

「去年は余力を残そうとしすぎて、試合後半で力が出なかった」。今年は序盤から出力を上げることで逆に、長いイニングで安定力が確保できている。

2度あった満塁のピンチも、その力でねじ伏せた。特に連続三振が途切れた3回は自身の失策もあり無死満塁のピンチに。1死後、溝脇の投ゴロ処理の際、右手親指にボールが当たるアクシデントもあったが痛みをこらえ、続く阿部を139キロフォークで空振り三振に。ここでも三振が自身を助けた。

10日中日戦(バンテリンドーム)で悲願の10勝を達成。「1つの壁だと思っていたので、変に意識せず試合に入れているのが本音」と表情が柔らかい。2桁勝利の呪縛から解放された戸郷は、確実に一皮むけた。【三須一紀】

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