エースの貫禄だ。ソフトバンク千賀滉大投手(29)が、新型コロナ感染からの復帰戦となった日本ハム戦(札幌ドーム)に先発登板。6回4安打無失点と好投し、9勝目を挙げた。限定80球の予定の球数を下回る76球で9奪三振と、完全復調をアピールした。前日(27日)、チーム10年ぶりのノーヒットノーランを喫した打線も、新人正木の2号先制ソロなど11安打6得点で援護。中継ぎ陣も無失点でつなぎ「完封返し」の雪辱で、首位をキープした。

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千賀は冷静に、そして力強く腕を振った。敵地・札幌ドームでの復帰マウンド。「80球」と限定された球数で、どれだけイニングを稼げるか-。復調確認の意味合いもある復帰登板だが、エースはチームの勝利にこだわった。

「6回を0点で行きたいと、思っていたことができたのでよかった。しっかり投げないといけない責任が伴う登板と思っていたので、ひとまずホッとしています」。千賀は笑顔で投球を振り返った。

自慢のフォークボールもさえた。初回2死。近藤を139キロのフォークで空振り三振に仕留めた。2回は木村に安打を許したものの、松本剛、古川裕、万波をすべてフォークボールで空振り三振に切った。6回76球を投げ、4安打無失点。「フォークも感覚がよかったので」と、9奪三振のうち7個が「お化けフォーク」が決め球。代名詞でバットに空を切らせた。

コロナ感染で、39度を超える高熱に浮かされた。「大人になっての高熱はあまりないので、隔離中に自分の体とたくさん会話しました」。隔離後の練習再開から約10日。2軍戦での調整登板を含め、しっかりコンディション維持に務めた。今季は右肘の違和感など、3度の登録抹消を経験。だが、復帰登板はすべて白星で飾ってきた。

7年連続の2ケタ勝利にも王手をかけた。「そこは1つクリアしたいポイントだったので、次も頑張りたい」。ヤンキースのスカウト部長などMLB5球団、計8人のスカウト陣がネット裏から熱視線を送った。今季中に海外FA権を取得する千賀にとって「メジャー挑戦」も実現したい大きな夢だ。ブルペン陣も0行進をつなぎ「完封返し」で首位をキープ。混戦のV戦線に、頼もしい男が帰ってきた。【佐竹英治】

▽ソフトバンク藤本監督(復帰登板で好投した千賀の投球に)「4、5回と思っていたら6回まで行けたからね。80球は超えないように考えていたので、嘉弥真とか津森を使わなくて良かった。次は100球くらいをメドに。1週間に1度は投げてくれないといけないから、無理しないように」

▽ソフトバンク今宮(7回1死満塁で左翼越え2点適時二塁打を放ち、5試合ぶりの打点をマーク)「北山投手は真っすぐが速いので、コンタクトすることだけを考えました。チャンスで1本打つことができて良かったです」

▽ソフトバンク・グラシアル(6回1死二塁で右中間適時二塁打を放って出場7試合ぶりの打点)「コンタクトすることだけを考えて打席に入った。大きな追加点を取ることができて良かった」

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