阪神先発の西純矢投手(20)が1球に泣いた。

無失点ピッチを続けてきた7回。先頭丸にストレートの四球を与え、続く中田との勝負。初球に投じた140キロのフォークを完璧に捉えられ、左翼席に運ばれた。「ランナーをためてからのホームランを注意しながら」。そう警戒しただけに、中田のダイヤモンド1周に悔しさをにじませた。

前回対戦は、今季初登板初先発した5月1日の敵地で、7回3安打1失点で初勝利。いいイメージで対峙(たいじ)し、この日も6回までに許した安打は吉川の右前打の1本のみ。中田に2ランを浴びるまで、ほぼ完璧な投球だった。

「良くないなりに(坂本)誠志郎さんに引っ張ってもらって、先発として試合をまとめることはできたと思います。ただ、失点した場面は自分の四球からなので、展開的にも終盤で粘らなければいけない場面でした。しっかりと反省して、同じ失敗をしないようにしたいです」

あの1球が…。たらればは禁物だが、被安打がわずか2本だけに悔やまれる。甲子園での伝統の一戦はプロ入り初だったが、7回2失点で無念の3敗目を喫した。矢野監督は「フォアボールがもったいない。バランスも良く、いい球がいっていた。痛い1敗やけど、打者も目が慣れるところを乗り越える投手になってもらいたい」と鼓舞。次回登板は「今すぐはわからん」と明言を避けた。だが、痛恨の1球こそ、成長の糧。背番号15の挽回を期待したい。【三宅ひとみ】

▼阪神は今季24度目の完封負けで、球団ワーストを記録した63年に並んだ。プロ野球シーズン最多は31度で、56年に大洋(DeNA)と東映(日本ハム)が記録。

▼巨人赤星に今季3敗目。赤星は先発、救援ともに阪神戦での登板があり、先発した3試合ではすべて白星を献上している。今季対戦投手別で3敗は、中日大野雄と広島床田と並んで最も多い。

○…ケラーは中1日で巨人打線にリベンジを決めた。2点ビハインドの9回に登板。先頭の代打増田陸を153キロ直球で空振り三振に仕留めると、増田大も154キロで空振り三振に。最後は4番中田を154キロで右飛に打ち取った。2日巨人戦では2点リードの9回に2失点。「今日はマウンドに上がりたい気持ちが強かった。短い時間で終わらせて、攻撃へのリズムを作りたいと思っていた。結果的に3人で抑えることができて良かった」と振り返った。

○…浜地は16試合連続無失点で防御率を0・88に下げた。8回に登板し、捕手坂本の二盗阻止にも助けられて1安打無失点。「どんな場面でもとにかく0点で帰ってくることを意識しているので、これからも続けていけるようにまた準備したいと思います」。ここまで年間50試合以上の救援登板で防御率0点台はプロ野球史上わずか12人。阪神では藤川球児、ジェフ・ウィリアムスに続く3人目の快挙も期待される。

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