阪神が首位ヤクルトに9-1で快勝し、連敗を止めた。

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プレッシャーが少しだけほぐれた。同時に、近本光司外野手(27)は気合を入れ直した。「ここで試合を決めたろう」。

4回。木浪の押し出し四球、梅野の2点打で3点を先制し、なおも2死満塁。ヤクルト今野の内角140キロを引っ張った。「梅野さんの執念あるヒットで3点取って、けっこう、気持ち的には楽でした」。仲間への感謝を込め、右翼線へ3点適時三塁打。矢野監督も「もう1点欲しいところで3点は本当に大きい」と手放しでたたえる貴重な追加点になった。

前夜は6-6で同点の延長10回。2死二、三塁のサヨナラ機で、マクガフの前に空振り三振に倒れた。無念を晴らすように、1点を奪われた直後の6回にはきっちりと犠飛。「多分、4打点は今までない」という通り4打点はプロ最多。「回ってきたところで自分の打撃がしっかりできるように」と力を込めた。

打てない時も、活躍した時も。あるリフレッシュ方法が近本を支える。

「例えば帰り道、いつもと違う道から帰るとか。休みの日に美術館に行ってみるとか。いつも自分がしていることと、ちょっと違うことをしてみるんです」

今季ブレークした同期入団の湯浅にも、そうアドバイスしたことがある。「いつもと違うことをすれば、脳がリフレッシュされる。僕? 甲子園からの帰り道、信号にひっかかったら『あっ、こっちの道にしよう』ってするくらいかな(笑い)」。後輩右腕が、ネットでどれだけ「疲労回復」と検索してもたどり着くはずがない。自己流のメンタル回復術で長いシーズンを乗り切る。

初回の二盗で今季27盗塁。ヤクルト塩見に4個差をつけ、頭ひとつ抜け出しリーグトップ。143安打はヤクルト村上に並び同トップだ。2冠も見えてきたが、あくまで視線はチームに向く。「最後まで諦めずチームのためにやっていく。そのために自分が引っ張って走っていきたい」。虎のラストスパートは近本とともにある。【中野椋】

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