球界現役最年長の中日福留孝介外野手(45)が8日、今季限りで現役引退することを発表した。今季は開幕1軍発進も、22試合23打数1安打、打率4分3厘で6月中旬に出場登録を抹消。今月初旬に球団に現役引退を申し入れ、PL学園の先輩でもある立浪和義監督(53)にも直接伝えた。メジャー、阪神を含め24年間。プロの第1歩を刻んだ竜のユニホームで締めくくった。

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平成を彩った大打者が、令和まで続いた24年間のプロ野球生活に別れを告げた。

「自分でユニホームを脱ぐと決めたので、あまりやり残したことはない。すっきりしています」

ユニホーム姿で臨んだ会見前。サプライズで大島、大野雄、京田ら後輩たちから花束を受け取ったときも、福留は笑顔だった。「寂しさもあるが、必ず誰しもが通る道。いずれ自分にも来ることは分かっていた。この年齢になって野球をやっている以上、常にそのつもりでやってきた。子どもたちとも時間ができるし、普通の父親に戻れる部分かなとも思う」。引退への思いも、笑顔で慰労してくれた家族への思いも、笑みを浮かべて振り返った。

20年オフに阪神を退団し古巣に復帰。昨季は代打も含め4本塁打18打点と輝きを見せた。PL学園の先輩でもある立浪監督が就任した今季は開幕スタメンに名を連ねたが、23打数1安打。6月に登録を抹消され、2軍調整を続けた。「最初から最後まであこがれの存在だったのは間違いない。最後にその方の力になれず、悔しさがある。先日、話をさせていただいて『逆に力になれず申し訳ない』と言われた。力になれなかったのは僕」。少年時代から憧れたヒーロー・立浪監督に直接引退を告げたことを振り返った瞬間、笑顔が一瞬だけ曇った。

首位打者を2度獲得するなど中日で3度優勝。06、09年のWBC連覇にも貢献した。刻んだ日米通算2450安打、327本塁打。「単純に野球が好きだった。うまくなったから楽しいではなく、うまくなりたいという気持ちを持って野球をやっているのが楽しかった」。

9日の巨人戦(東京ドーム)から1軍に合流する見込み。11日からの阪神戦(甲子園)では、8年間声援をもらった虎党への別れを告げる機会もありそうだ。「阪神の方々にすごく感謝している。ファンも本当に温かく、いい時も悪い時も応援していただいて。(退団時に)最後ファンの方にあいさつ、お礼を言う機会がなかった」。23日からの本拠地最終カードの巨人3連戦のいずれかで引退セレモニーを予定。引退後は未定だが、将来的な球界への恩返しには前向きだ。球史に名を刻んだレジェンドが、バットを置く。【伊東大介】

▽中日荒木内野守備コーチ コメントを短くまとめるなんてできないです(苦笑)。今はお疲れさまでした、という言葉しかありません。

▽中日森野打撃コーチ 高校時代からの憧れのスーパースターだったので、一言では言えないです。今は本当におつかれさまでした。

▽中日平田 現役生活おつかれさまでした。2度も同じユニホームを着て一緒にプレーできたことが光栄でした。ありがとうございました。

▽中日大島 日本生命の先輩でまさか一緒にプレーできるとは思いませんでしたし、まだまだいっぱいありますが、今は本当におつかれさまでした。

▽中日大野雄 投手の僕でも本当にいろんな話をしてくださいましたし、2年間ためになることばかりでした。ドラゴンズに帰ってきてくださって本当によかったです。僕も福留さんみたいに後輩にいろいろ伝えられる選手になりたいですし、したいです。24年間、おつかれさまでした。

▽ロッテ井口監督 アトランタ(五輪)も一緒に3、4番でプレーした仲ですし、同じメジャーに行って頑張った選手なので残念ですけど、これからまた違う形で野球に携わると思う。野球界にしっかり貢献というか、恩返しできるようにしてもらいたいなと思います。

▽巨人原監督 WBCでも世界一のメンバーでよく貢献してくれましたし。あれだけの頑健な体を持ち合わせて、見事な野球人生だったと思いますね。

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