ソフトバンク打線が、初回からつながった。2四球などで好機をつくり、2死一、三塁でアルフレド・デスパイネ外野手(36)が左前へしぶとく運んで先制打を放つ。「先制のチャンスでとにかく集中して打席に入った。詰まりはしたが、いいスイングで振り切ることができたよ」と分厚い胸を張ってみせた。さらに牧原大が中前へ、今宮は右前へはじき返し、連続の適時打で続いた。

3点を奪ってなお2死一、三塁で打席に入ったのはグラシアルだ。不調のため出場選手登録を抹消され、リフレッシュ期間を経てこの日、再昇格。藤本監督は「リフレッシュするために10日間、2軍に行ってもらった。残り4試合、何も考えないで、来た球を打つだけ。リフレッシュはできたんじゃないかなと思います」と話していた。

グラシアルはその期待通り、一、二塁間を破って、4者連続となる適時打で応えた。「自分のスイングをすることだけを考えて打席に入ったよ。ランナーを返すことができて良かった。とにかくチームの力になれるように頑張っていきたい」と、戦列復帰早々に自身にとっても安堵(あんど)の一打になった。

藤本監督は、経験豊富な助っ人が不振にあえいでいる間も「ジュリ(グラシアル)の力は絶対に必要となってくる。復調してもらわないと」と繰り返し、話してきた。最終盤までもつれる優勝争いの中で、頼もしい男が戻ってきた。役者はそろった。決着の時はもう、すぐそこだ。