阪神の「CS男」が、得意のDeNA今永打ちで突破口を切り開く。8日から始まるDeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(横浜)へ向け、5日に甲子園で全体練習が行われた。キーマンは中野拓夢内野手(26)だ。初戦の先発が見込まれる今永との今季の対戦打率4割4分4厘、昨季のCSでは打率3割7分5厘を記録したリードオフマン。持ち前の勝負強さを発揮し、先手必勝を狙う。

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「CS男」の中野は3日後に迫る決戦へ向け、引き締まった表情で黙々とバットを振り込んだ。CSファーストステージでも今季中盤から定着した「1番遊撃」での出場が濃厚。今季は初戦の先発が見込まれる今永相手に、9打数4安打、打率4割4分4厘と相性はいい。「苦手なイメージも嫌なイメージも全くないので、その分すんなり打席に入れるかなと思います」と自信をのぞかせた。

短期決戦の勝負強さは証明済みだ。ルーキーイヤーの昨季の巨人とのCSでは「2番」で出場。2試合でタイムリーを含む8打数3安打、打率3割7分5厘をマークした。「短期決戦は本当に勢いが大事になってくる。何とか自分がチームに勢いを付けるということも考えながらやっていければ、自然といい方向に向かっていくと思う」と力を込めた。

矢野監督も「CS男」をあらためてキーパーソンに位置づけ、期待を寄せた。「拓夢が(塁に)出るか出ないかというところはポイントになると思う。チカ(近本)まで回れば、またいろんな足を絡めながらというのが増えるんで。どうしても打点とかに注目がいくことが多いけど、うちのポイントとしては拓夢とか出ることの方が大事だと思っている」とうなずいた。

この日はフリー打撃を行った後、シート打撃で遊撃の守備に就いて二塁手高寺とのコンビネーションを確認し、決戦へ備えた。今季横浜スタジアムでは2勝11敗と大きく負け越しただけに、中野は「それを払拭するためにも、1戦目がとても大事になってくるかなと思う。入りをしっかりといい準備をしていきたい」と引き締めた。

今季リーグ3位の157安打、同4位の23盗塁を記録した虎の切り込み隊長が先陣を切り、下克上へと導く。【古財稜明】

○…佐藤輝がシート打撃に参加した。西勇を相手に2打席立ち、1打席目は左飛。2打席目は痛烈な打球をセンター方向に打ち返したが、「輝シフト」で二塁ベース後方を守っていた遊撃中野の正面でキャッチされ、遊直となった。4日には侍ジャパンに選出された主砲は「いい準備をしていきたいと思います」とCS開幕に向け、状態を上げていく。

○…先発&ロング要員として期待される才木が、ポストシーズンの登板を心待ちにした。昨季のCS期間中は20年11月に受けた右肘のトミー・ジョン手術明けのリハビリ中だった。「CSで自分を戦力として考えてくれていることはありがたい。任されたところでベストパフォーマンスが出せるように、しっかり調整していきたい」。8日CS初戦の先発大本命はエース青柳だが、才木を「オープナー」に抜てきするプランも浮上している。矢野監督は「想像して勝手に書いたらいいやん。楽しいやろ?」と、はぐらかした。

〇…阪神井上ヘッドコーチは打順は基本的に変えない考えを明かした。シーズン終盤は大山4番、佐藤輝6番だった。「打順的には、それを変えるってことは考えにくい。後半戦、いい働きをしてくれた(5番の)原口あたりを外す理由もないし。打順をいじることは考えていない」と話した。その中で、マルテや陽川らの状態も見極めながら「ベストメンバーをあと2日間くらいで考えていく」と熟考する。

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