逆襲の日本一へ向け、ソフトバンク王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(82)が「先手必勝」のゲキを飛ばした。7日、チーム練習を見守り8日開幕となる西武とのクライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージ突破へ「頭(初戦)は勝ちたい。1勝すれば王手」と鼓舞した。シーズン2位に敗れた屈辱は過去のこととし「とにかく大胆に行け」と力強く背中を押した。

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誰よりも前を向いている。王会長の言葉には力がこもっていた。「(シーズンで)負けたことを悔しがってもね。終わったことはしょうがないんですよ。過去は変えられないんだから。だから次のステップにどう生かしながら行くか、ということ」。半世紀を超すプロ野球生活で、王会長が人生哲学としてきた「今日よりも明日、明日よりも明後日」という日々進歩の思いそのままに、チームを鼓舞した。

想定外のV逸。シーズン残り4試合の仙台、所沢、そして幕張…。敵地に足を運び「終戦」を目に焼き付けた。チームの誰よりも「必勝」を胸に誓った王会長にとって、悔しさは人一倍だったはず。ただ、悔やんでも泣いても、通り過ぎた時間が戻らないことも、誰よりも知っている。だからこそ残されたチャンスは逃すわけにはいかない。王会長は声のトーンを上げた。

「とにかく大胆にいくこと。特に最初の第1ステージの頭(初戦)は勝ちたいですよね。最初の1勝をすれば、王手になるわけですから。後は特別なことをやることはないんですよ。今まで通りやればいい。自分がやれることをやればいいんだから」

傷心の帰福から、チーム練習が再開された5日にはグラウンドに姿を見せチームに訓示。3日間の全体練習をすべて見守り「決戦」に気持ちを高めた。「こういう形でクライマックス・シリーズを迎えたくはなかったけど、一生懸命やった結果。何とか日本シリーズまで持っていきたい」と言い切った。

信頼も揺るがない。チームの「短期決戦の強さ」もインプットしている。19年のCSファーストステージで楽天に敗れた後は、2度の日本シリーズ4連勝を含め16連勝中。「うちの選手は他のチームの人よりは経験が多いから。若い人も自信を持ってやってほしいね。チームメートを信じてやれば絶対できますよ」。逆襲の日本一へ-。王会長の熱い思いがほとばしった。

【佐竹英治】

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