ロッテは7日、昨季まで投手コーチで、今季はピッチングコーディネーターを務めた吉井理人氏(57)が新監督に就任すると発表した。井口資仁監督(47)が2日の今季最終戦後、退任を電撃表明。後任の選定を進めていた。福浦和也1軍打撃コーチ(46)の1軍ヘッド兼打撃コーチ就任も決定。また、任期満了で退任する河合克美代表取締役オーナー代行兼社長の後任社長として、球団執行役員の高坂俊介氏(40)が内定した。

   ◇   ◇   ◇

ロッテの新監督は、恐らく誰も予想していなかった人物だった。午後4時半。ZOZOマリンの記者室で配布された「就任の件」と題したリリースにあった名前は「吉井理人」。突然の発表を示すかのように、吉井氏のコメントも「(就任要請に)ただ、ただ驚いています」で始まっていた。就任会見の日程は未定だ。

本人が驚いても、リリースには「25年に常勝軍団」という目標達成へ、球団の意欲が込められている。河合オーナー代行兼社長は「この目標に向かって、共通の認識で戦っていただける方。これまでのビジョンを引き継いで、常勝軍団を作ってくれる監督だと期待をしています」。吉井氏は19年から3年間、投手コーチを務めた。今季は現場から引き、ピッチングコーディネーターという立場でチームを俯瞰(ふかん)した。シーズン中には、米国に数度にわたりメジャーに“短期留学”。侍ジャパンでは栗山監督の下、投手コーチを担う。知見を広める手を緩めない。

そのスタイルは現役時からだ。97年オフにFA権を行使し、ヤクルトから大リーグのメッツに移籍。国内5球団の誘いを断った。金銭面の条件は低かったが、それでも人生経験を選んだ。03年に日本球界に復帰。07年にロッテで現役を終えるまで、日米7球団でプレーした。コーチも3球団を数える。

先まで見通した指導に定評がある。ロッテでは佐々木朗に代表されるように、若手を着実にステップアップさせ、リリーフ陣も整備した。3年連続Bクラスだったチームは、20年から2年連続2位。吉井コーチの下支えは大きかった。この日、森脇浩司ヘッド兼内野守備コーチ(62)の退団申し出が受理され、井口監督以下、首脳陣の退任は8人目となった。福浦1軍打撃コーチの1軍ヘッド兼打撃コーチへの就任も決まり、組閣も進んでいく。5位から常勝軍団へ-。ハードルは決して低くない。革新と継続の先、手腕を発揮する場が待っている。【古川真弥】

▽ロッテ吉井新監督(球団を通じコメント)「(就任要請に)ただ、ただ驚いています。これまでコーチとしての役割ということで勉強をしながらやってきましたが、これからは全体のマネジメントを任される立場になるということで身が引き締まる思いです。基本的には選手のパフォーマンス向上と人間力の向上の2つを上げること。そして最終的には勝つこと、10月に大舞台に立てることを目指していきます」