待ってろオリックス! ソフトバンクがCSファーストステージで西武に連勝し、ファイナルS進出を決めた。0-0の3回2死満塁で柳田悠岐外野手(34)が決勝のグランドスラム。34歳の誕生日に自ら祝砲をあげた。チームはポストシーズンの連勝記録を「18」に更新。12日からはオリックスが待つファイナルステージ。勢いそのままに、京セラドーム大阪に乗り込む。

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本当に首を痛めていたのか。そう疑いたくなる離れ業だった。0-0の3回2死満塁。西武今井の内角低めスライダーに柳田は体勢を崩す。持ち味のフルスイングではない。カット打ちのようなスイングで右翼テラスまで運んだ。「まぐれです。奇跡です。来た球に反応しました」。決勝のグランドスラム。ペイペイドームが揺れた。

止まらない。レギュラーシーズンの10月1日西武戦から“4戦連発”。「『ダメでも』と思った感じでいきましたが、それがいい結果になりました」。「もう大丈夫です」と話すが、9月30日には守備中に首を負傷した。患部に湿布を貼りながらチームを引っ張る。不死身の主砲が勝負を決めた。

この日は34歳の誕生日で、球場のスーパーボックスに家族を招待した。昨年9月には第3子となる次男が誕生。球場を離れれば3児の父になる。「思い出に残る誕生日になったと思います。帰ってケーキでも食べたいです」。大声援に包まれるかっこいいパパの姿を見せた。最高のバースデーアーチでファーストS突破を決めた。

リベンジの舞台は整った。12日からは京セラドーム大阪で、リーグ王者オリックスとのファイナルSに挑む。今季は10勝15敗と大きく負け越し、さらに敵地のオリックス戦は3勝10敗と鬼門だった。優勝マジック「1」としながら、覇権もリーグ最終戦で宿敵に持っていかれた。

そんな負のデータは、勢いで覆す。チームはポストシーズン(PS)で破竹の18連勝とし、柳田がPSで本塁打を放てば11戦11勝。「柳田神話」は継続中だ。「いいメンタルで野球ができている気がします」。ノリノリの柳田がいれば、難敵山本も“恐セラ”も怖くない。オリックスにやり返す時がきた。【只松憲】

▼柳田が3回に満塁本塁打。プレーオフ、CSの満塁本塁打は18年1S<1>戦デスパイネ(ソフトバンク)以来13本目。4番で打ったのは、04年1S<3>戦カブレラ(西武)に次いで2人目となった。日本シリーズで4番の満塁本塁打は04年<3>戦カブレラだけで、ポストシーズン(PS)で満塁弾を打った日本人4番は柳田が初めてだ。

▼PSでは通算11本塁打(CS8本、日本シリーズ3本)。PS通算11発は歴代10位タイで、プレーオフ、CSでの8本は歴代3位タイになる。

○…柳田は、今季限りでソフトバンクを退団する松田のロッカーを使用していることを明かした。ペイペイドームのロッカールーム内で、端の方に位置しているという。「立地がいいです。いい立地。家賃は高いです」。独特な表現でベンチ裏の事情を明かし「(松田の)バットも使ってます。単純に振りやすいからです」と熱男魂を継承している。

○…甲斐がタイムリー2本の大当たりだ。4点リードの4回2死二塁で、詰まりながら右前に運び「チャンスで絶対に追加点をという思いだけでした。大きい追加点を取ることができて良かったです」。8回にも中前へダメ押しの安打を放った。シーズン中は打率1割台と苦しんだが、この日は2安打2犠打と貢献。藤本監督も「CS男かもわからないね」と笑顔だった。

▽周東(2番三塁で先発出場し2安打の活躍)「とにかく打席では自分のスイングを心かげていました。ファイナルステージでも結果で応えていきたいです」

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