広島野間峻祥外野手(29)が今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せずに残留することが18日、分かった。

条件面では大筋で合意しており、近日中に正式発表される。今季は野手主将としてチームをまとめ、85試合出場で打率3割1分2厘を残した。金銭補償や人的補償が伴わないCランクのFA取得選手として注目されていたが、愛着ある球団への残留を決めた。

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FA申請期間(日本シリーズ終了日翌日から)を待たずに決断を下した。この日、球団と3度目の交渉を終えた野間は、FA権を行使せずに広島残留を決めた。条件面では細部を詰め切れていない部分もある中で、早期決着を選んだ。

広島入団8年目の今季、野手主将を任された。選手会長大瀬良や投手主将の九里らと連携しながら、チームをまとめた。下半身のコンディション不良を抱えながらも85試合に出場して、打率3割1分2厘。粘り強い打撃で主に1番打者として打線をけん引した。守備では中堅のほか、秋山加入後は右翼で強肩を披露するなどタレントぞろいの外野陣で存在感を高めた。

明るい性格だけでなく、主将就任以前から後輩に厳しい助言もいとわない一面も持つ。レギュラーを奪っても本拠地試合の早出特打に参加。満身創痍(そうい)のシーズン終盤もグラウンドに立ち続けた。明るく、筋を通す人柄は先輩から認められ、後輩から慕われた。

現役時代ともにプレーした新井監督就任も大きい。影響を受けた先輩の1人。主将就任時には「格好つけてやるのではなく、不細工でもいいので、泥臭くやる。新井さんを見て、格好いいと思っていた。カープ野球は、泥臭く次の塁を狙っていくもの」と話していた。理想とするプレースタイル、チーム像を重ねた。

監督就任会見の前日11日には直接電話で残留要請を受けた。「また一緒にやりたい」という言葉に「そう言ってもらえるのはありがたい」と素直に感謝を口にしていた。新指揮官が掲げるチーム再建のひとつに「機動力野球復活」がある。リーグワーストの盗塁数26個の中、チーム最多7盗塁を記録したのが野間だ。来季は新井監督の下、プレーと背中で新生カープを引っ張っていく。

◆野間峻祥(のま・たかよし)1993年(平5)1月28日生まれ、兵庫県出身。村野工-中部学院大を経て14年ドラフト1位で広島入団。当時の緒方監督が入団当時つけていた、背番号37を受け継いだ。1年目の15年には127試合出場と、即戦力の期待に応える。今季は野手主将に就任し、チームをけん引した。180センチ、83キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は3100万円。

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