虎の「直球破壊王子」が二塁奪取宣言だ。江越、斎藤とのトレードで日本ハムから阪神に移籍した渡辺諒内野手(27)が23日、高浜祐仁内野手(26)とともに兵庫・西宮市内の球団事務所で入団会見を行った。背番号は25に決定。岡田彰布新監督(64)の期待も高い強打の右打ち内野手は、早くも二塁バトル勝利に目の色を変えた。渡辺らは24日から甲子園で始まる秋季練習でチームに合流し、宣戦布告のゴングを鳴らす。

   ◇   ◇   ◇   

タイガースカラーの黄色のネクタイを締め、渡辺は力強く言った。「キャンプから『絶対セカンドをとるんだ』というイメージをして取り組んでいきたいと思います」。トレード移籍をチャンスに変える。入団会見の言葉の節々に、強い覚悟が込められていた。

二塁のレギュラーは固まっていない。今季最多スタメンは糸原の54試合。宮崎でのフェニックスリーグでは、岡田新監督の意向で小幡が遊撃に固定。今季遊撃で135試合に出場した中野も、ポジションを確約されていない立場だ。渡辺は「開幕戦にしっかりレギュラーとして。それが一番の恩返しだと思う」ときっぱり。強打の右打ち内野手を売りに殴り込みをかける。

異名は「直球破壊王子」だ。18年7月、速球派のソフトバンク・バンデンハークから2打席連発でブレークの足がかりをつかんだ。20年8月には西武ギャレットの160キロを逆転適時打とし、「直球破壊王子」がツイッターでトレンド入り。直球を打ち砕くことで主役になってきた男だ。長年、真っすぐに差し込まれるシーンの目立つ阪神打線の救世主になる可能性は十分。巨人大勢らライバル球団のパワー系投手の「直球破壊」も、のぞむところだ。

「甲子園は右打者が有利。浜風があるので風に乗せてホームランが打てるようにアピールしたい」。19年放った11本塁打のキャリアハイ超えの期待もかかる。

阪神の二塁手で強打の右打ちといえば? 「岡田監督も素晴らしい成績を残されましたし、少しでも近づけるように」と青写真を描く。「土のグラウンドでいいプレーができるように、一からやりたい」と守備も徹底的に鍛える。東海大甲府2年夏には、甲子園で本塁打を放ち4強入りに貢献。「あの活躍があって今の自分がある」。その甲子園で24日から始まる秋季練習でタテジマデビュー。「直球破壊王子」が新天地で目の色を変える。【中野椋】

◆阪神二塁手の打撃 今季スタメン二塁手の打率2割1分9厘、106安打、4本塁打はいずれもセ最低成績。長打力不足も否めず、レギュラー二塁手の2桁本塁打は04年今岡誠の28本以来出ていない。渡辺は19年に11本塁打の実績があり、強打の二塁手の期待が高まる。

◆阪神今季の二塁手 二塁手の最多出場は糸原の63試合で、セ各球団の最多出場二塁手で最少。最多スタメンも糸原の54試合。セで全143試合の過半数に先発した二塁手がいないのは阪神だけだった。ヤクルト山田が119試合、DeNA牧が115試合にスタメン出場したのとは対照的。規定試合数95に到達した二塁手は、中日と並び0人だった。渡辺諒にも二塁取りのチャンスが十分ありそうだ。

【関連記事】阪神タイガースニュース一覧