阪神岡田彰布監督(64)が30日、来季は選手が自由に盗塁の判断ができる「グリーンライト」を与えない考えを明かした。今季チームは110盗塁で4年連続リーグトップの機動力を誇る。走れる選手が多くいることは理解しながらも、来季盗塁のサインについて「オレは出すよ」と明言。18年ぶりの悲願の「アレ(=優勝)」へ、勝利を重ねるためにも、足技を使う場面は岡田監督が責任を持って指示を出す。

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機動力は大事な場面で使ってこそよ。岡田監督は来季の盗塁のサインについて「オレは出すよ」とはっきり言った。失敗を恐れない超積極野球だった矢野前監督の4年間は盗塁数がすべてリーグトップ。今季も110盗塁とリーグ唯一の3桁台だった。30個で2年ぶり3度目の盗塁王に輝いた近本、昨季盗塁王で今季リーグ4位の23個の中野、21個の島田と球団では62年ぶりの20盗塁トリオも誕生した。佐藤輝も11盗塁。植田、熊谷といった代走のスペシャリストに小幡もいる。

岡田監督も走れる選手が多いことは理解した上で、選手に盗塁の判断を任せるグリーンライトは与えない考えだ。「グリーンサインなんか、オレ今までやったんは赤星だけやで」と、第1次政権、オリックス時代も含め年間60盗塁を記録していたレッドスター赤星憲広だけにしか与えなかった。「そら50、60走るからやるわけであって、20、30でグリーンサインなんか出せへんよ」と、近本、中野では岡田監督の基準はまだ満たしていないことになる。

「盗塁を何個という目標はないよ。点を取るために必要であればな。大事なところで走れんとあかんで。そんないつでも走っていいんじゃないからな。本当にいってほしい時に走れる、スタートを切れる選手じゃないとな」と、ここぞの場面で岡田監督がGOサインを出す。

この日は秋季練習で初めて二盗の練習を行った。筒井外野守備走塁コーチがタイムを計測。岡田監督が現在のナインの走力を把握しやすいように数値化した。岡田監督は「実戦をやってな」と、来春のキャンプ、オープン戦で、本当に走れる選手を見極めていく。「走らんでもいいぐらいみんな打ったらええけどな。一塁(に走者が)おれば後ろがホームランを打ってくれると思ったら、そら一塁おらすよ。そんなん当たり前や。冒険する必要ない」と笑った。第1次政権での5年間は年間96個から46個とその年の選手構成によって幅が大きかった。23年シーズンはどんな岡田野球になるのか、楽しみは尽きない。【石橋隆雄】

<阪神選手の盗塁>

◆最多は赤星 赤星憲広は通算381で球団最多(プロ野球史上9位タイ)。以下(2)吉田義男350(3)三宅伸和199(4)金田正泰187(5)田宮謙次郎145。

◆盗塁王 新人年01年から5年連続5度獲得の赤星が最多。今季3度目の近本光司が続く。また昨季は新人の中野拓夢が獲得。

◆4年連続最多 矢野前監督の任期中の19年から今季まで、4年連続セ・リーグ最多を継続中。

◆岡田監督は76盗塁 16年の現役生活で通算76盗塁(オリックスの2年含む)。シーズン2桁盗塁は3度あり、86年には自身最多の11盗塁を決めている。

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