父に、もっといい夢を見せる-。日本ハムの育成ドラフト1位花咲徳栄・藤田大清外野手(18)が10月31日、埼玉・加須市の同校で指名あいさつを受けた。身長187センチの大型スラッガー候補は、元甲子園球児の父勉さん(49)からプロ野球選手になる夢を託されて実現した孝行息子。支配下選手契約も勝ち取って、父も目指していた舞台で大活躍するビッグな夢の続きを描くことを誓った。

    ◇     ◇     ◇

山本アマスカウトグループ長から指名あいさつを受けた藤田は「実感が湧きました」。花咲徳栄に入学した時に立てた目標が達成されたことを、実感した。当時を振り返ると、父の言葉が鮮明によみがえる。

「自分のかなえられなかった夢を、かなえてほしい」

父勉さんは“やまびこ打線”で知られる池田(徳島)出身。名将蔦監督のもとで主将として91年夏の甲子園に出場し、ベスト16に進出した元球児だ。「父の夢がプロ野球選手だったんですけど、自分にはセンスないって分かって、もう諦めようって高校で辞めたんです」と、夢を託された息子は父の思いも背負って高校野球に打ち込んできた。

どんな試合でも父は駆けつけてくれた。藤田は「毎試合、見に来て。(高校野球を)引退してから自分が(試合に)出られないんで『暇』って、よくラインが来てます」と苦笑いで明かした。動画を撮影してもらって打撃チェックを行うなど、父のサポートもレベルアップには欠かせなかった。山本アマスカウトグループ長も「お父さんがネット裏で、いつも熱心にスコアを書かれているんですよ。それも僕は気になって感じるものがありました」と振り返るように、プロ入りに懸けた親子の情熱が夢を現実に変えた。「育成ではあるけど、やっぱり父の夢をかなえられたのは本当にうれしかった」と笑顔だ。

ここからはプロで大活躍することが目標に変わる。そのために、現在は体力アップを目指して増量中。体重84キロから年内に90キロまで増やすことが目標。痩せやすいのが悩みだが、トレーニングとともに「1日6食とか、なるべくおなかを空かさないようにやっています」と、身長187センチに見合う体づくりをスタートさせている。「バッティングが売り。長打力とバットコントロールに、すごく自信がある」という大型スラッガー候補は「早く支配下に上がってファイターズを日本一に導けるように」という新たな目標を胸に、親子で描いて実現した夢の続きを華々しく彩っていく。【木下大輔】

○…藤田は花咲徳栄の先輩でもある日本ハム野村に弟子入りを希望した。「毎年冬に先輩方があいさつに来て、バッティングを見させていただいて、やっぱりレベルが違うなと。同じチームになれたので、どんどん質問して、上の一流の選手の(技術を)吸収してレベルアップしていきたい」。投手の長谷川威も含めて、同校OBはチームに3人目。1軍での3人同時出場も目標としながら、早期の支配下選手登録を目指す。

◆藤田大清(ふじた・たいせい)2004年(平16)8月23日生まれ、東京都練馬区出身。花咲徳栄では2年秋から公式戦に出場。今春の埼玉県大会で満塁弾を放つなど高校通算11本塁打。今夏は埼玉県大会準決勝で敗れ、甲子園出場なし。187センチ、84キロ。右投げ左打ち。

【関連記事】日本ハムニュース一覧