12月某日、阪神岡田監督と虎OB鳥谷敬氏の正月対談に同席させてもらった。新指揮官はその場で新助っ人4人について「新しいのはほんと分からんからな。キャンプに来てからやな」と慎重に見通していた。映像と現実にズレがある可能性もあれば、実力があっても異国の地で本領を発揮できないパターンもある。そう考えれば、元優良助っ人の沖縄滞在がもたらす好影響は限りなく大きそうだ。

早くも18年ぶりの「アレ(=優勝)」にロックオンしている23年岡田阪神。少し気がかりなポイントをあげるとすれば、外国人選手5人のうち4人が初来日という点だろうか。

右の中距離砲で開幕3番左翼の最有力候補とされる28歳ノイジー。「勝利の方程式」入りがイメージされる27歳右腕ビーズリー。先発ローテ争いに加わる28歳右腕ブライアン・ケラー。伸びしろ十分の27歳右の大砲ミエセス。4人とも日本球界初挑戦という意味では、まだ「期待」はできても「計算」はしづらい。

そんなカルテットに朗報が届いたのは22年も年の瀬のこと。駐米スカウト2人の2月沖縄キャンプ滞在が正式に決まったのだ。

阪神の駐米スカウトが2月沖縄キャンプに訪れたのは20年が最後。21年からの2年間は新型コロナウイルス感染対策もあり、来日が見送られていた。今年に関しては嶌村球団本部長が以前から「検討次第やね」と含みを持たせていたが、どうやら2月前半にジェフ・ウィリアムス氏、2月後半にはジェリー・サンズ氏がともに約2週間ほど沖縄滞在するようだ。

中でも注目は今季から駐米スカウトに就任したサンズ氏だ。20年からの2年間は阪神で計39本塁打、129打点。勝負強い打棒だけでなく、その面倒見のいい人柄も誰もが高評価していたのは有名な話だ。当時ルーキーだった佐藤輝明ら若手とも丁寧に野球談議を交わし続けていた姿は、今も記憶に新しい。

嶌村球団本部長の話では、サンズ氏はすでに米国テキサス州でノイジーと夕食を共にして、動画を用いて日本の「野球」についてレクチャーもしていたという。新助っ人4人の心のケアはもちろんのこと、佐藤輝明覚醒のアシストにも貢献しそうな心優しき元優良助っ人。こちらも兄貴肌のウィリアムス氏とともに、2月の沖縄で隠れた注目銘柄となるかもしれない。【野球デスク=佐井陽介】