ソフトバンクの開幕投手が、育成出身の4年目左腕、大関友久投手(25)に決定した。
宮崎春季キャンプ第5クール初日の21日に、藤本博史監督(59)が明言した。昨年8月には左睾丸(こうがん)の腫瘍摘出手術を受けた苦労人が、3年ぶりリーグ優勝&日本一をかける今季の先陣を託された。
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育成出身の苦労人が初の大役をつかんだ。この日、大関は藤本監督から開幕投手を務めることを伝えられた。本番は1カ月以上も先だが、早くも武者震いした。「今からでも緊張するくらいです。自分の中ではしっかり開幕に向けて準備してきたので、大きく変わることはないと思いますけど、気持ち的に引き締まるところはあると思います」と、持ち前の低音美声を響かせ心境を語った。
藤本監督が当初、第3クール終了までに決める意向だった開幕投手選びは思いのほか長引いた。候補に挙がったのは実績組の和田、石川、東浜に若手の大関、藤井、板東。それぞれが好アピールを続け、首脳陣を悩ませた。その中で指揮官は「ロッテに大関が一番相性がいいと言うところもあるので。143分の1ですけど、大関に託そうと投手コーチと満場一致で決めさせてもらいました」と、左腕に託す決断を下した。
大関は昨季、ロッテ戦に5試合(3先発)登板し、プロ初完封を含む2勝0敗で防御率1・16の好相性だった。昨年8月には左睾丸(こうがん)の腫瘍摘出手術を受けて離脱したが、そこから驚異的なペースでシーズン終盤に復帰。オフに入ってからも、常に高い意識で取り組んできた姿が首脳陣にも頼もしく映っていた。
開幕後の変則日程も背景にある。開幕戦となる3月31日ロッテ戦のちょうど1週間後が移動日で試合がなく、その翌週からは2週続けて、木曜日に試合がない。開幕投手の最有力候補だった東浜と石川に藤本監督は「開幕に行ったら(ローテーションが)ずれたりもする。週に1回投げてもらうというところも考えました」と、2カード目オリックス戦の頭など柱のポジションに置きたい考えを明かした。
3年ぶりリーグV、日本一を目指す戦いへの「Vローテ」最初のピースが埋まった。先陣を担う大関は「チームを背負えるような生活、行動をしていきたい」と表情を引き締めた。【山本大地】
◆大関友久(おおぜき・ともひさ)
◆生まれ 1997年(平9)12月14日生まれ、茨城県出身。
◆経歴 土浦湖北高から仙台大を経て、19年育成ドラフト2位でソフトバンク入り。
◆手術 昨季は前半戦で6勝を挙げ、オールスターにも選出されたが8月に左精巣がんの疑いのため、左睾丸(こうがん)の腫瘍摘出手術を受け離脱。当初はシーズン中の復帰は厳しいとみられていたが、驚異的な回復で9月に1軍復帰。クライマックスシリーズでも登板した。
◆美声 低く美しいバリトンボイスの持ち主。昨季は主力に交じって、胸キュンせりふなどが収録された「ボイスラバーストラップ」のメンバーにも入った。
◆勉強家 野球に関するものだけでなく、さまざまな書籍を読む読書家。入団会見ではスティーブ・ジョブズの言葉に感銘を受けたと明かしていた。昨年オフからは「物理学の基礎」に関する本を買い、球速アップのためのトレーニングに生かしていた。
◆相撲いじり 「大関」の姓から、相撲に絡めてイジられることが多い。昨季5月にプロ初完封をすると、藤本監督からは「前頭3枚目くらいかな」とハッパを掛けられた。契約更改での写真も相撲ネタになりがちだ。
◆サイズ 184センチ、94キロ。左投げ左打ち。
○…開幕ローテーション入りを目指す石川と東浜は、ともに1回1失点で初実戦を終えた。東浜は沖縄尚学-亜大の1学年後輩にあたる嶺井とバッテリーを組み「今までにない配球もあったので面白い」と振り返った。2死二塁で中村晃に中前適時打を浴びたが「結果よりも内容のあるピッチングでした」と実りある1イニングだった。石川は柳田に特大ソロを浴び「もったいないですね。今、練習中のカットボールがゆるんでしまった」と課題を残した。
○…新加入で開幕ローテーション候補のガンケルが1回無安打無失点の上々デビューを飾った。紅組の3番手として5回に登板。ホーキンスを三ゴロ、栗原を左飛、正木を空三振に仕留めた。ホームベース後方から見つめた藤本監督は「最高。球数も少ないし、ガンケルが一番目立ったね」と絶賛。右腕も「真っすぐがいいところに投げられた。すごく良かったね」と満足していた。同じく新加入でローテ候補の有原も1回3者凡退。「ほとんど真っすぐで、ファウルも取れていた。ある程度はいいかな」と振り返った。



