二刀流適性あり。日本ハムのドラフト1位矢沢宏太投手(22=日体大)が23日、ロッテとの練習試合(沖縄・名護)でプロ初登板した。7回に5番手としてマウンドに立ち、1回1安打1失点(自責0)。少ない球数で肩をつくれる能力に、加藤投手コーチは「適性がある」と分析した。次回登板となる3月2日、エスコンフィールド北海道での紅白戦で、さらに精度を上げ、開幕二刀流へ歩を進める。

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矢沢がクールに1イニングを投げきった。プロとしての初登板。先頭の松川に初球132キロスライダーを右翼線に運ばれるも、一切動じなかった。「打たれたな、という感じ。投手は試合の流れに左右されてはいけない。野手が点を取っても、ゲッツーを取っても、自分は自分のプレーを。あまりテンションが変わったりしないように」。淡々と打者と向き合った。

続く池田の送りバントを冷静に処理して1死三塁。「そこまで練習やってないですけどバント処理ぐらいできます」。高卒時点では雲の上の存在だった同学年の藤原はツーシームで投ゴロに。「どの打者も一緒。その1球で打ち取れたので、そこは良かった」。続く茶谷の強烈なゴロを一塁清宮がはじき失点。失策のため自責点はつかなかったが「あれはヒットという当たり。エラーになってラッキーでした」と、ここは素直に負けを認めた。

1回1安打1失点も、二刀流への適性は十分に示した。加藤投手コーチは「肩が出来るのが早い。15球くらいで準備が出来るので二刀流として対応しやすいのでは」。練習日は遠投後にブルペン入りしていたが、この日は遠投をカット。それでも「すんなり出来た。対応力もある」と同コーチ。新庄監督が思い描く、右翼守備からマウンドに上がり、再び右翼に戻るプランも、実現可能なフィジカルを評価した。

開幕カードの相手楽天やオリックス、西武の3球団のスコアラーが視察。楽天の小池スコアラーグループマネジャーは「うちは左打者が多いので、どこで出て来るか考えると、チェックしないといけない投手」と警戒した。24日はオフも、矢沢は「翌日に野手で出ろと言われても全然いける。僕はあまり肩とか肘とか張らない。キャンプの疲れもそれほどない」。打者としては対外試合7打数5安打と好調。着々と新球場開幕二刀流への準備を進める。【永野高輔】

<日本ハムの主なドラフト1位投手の実戦初登板>

◆05年ダルビッシュ有 ルーキーイヤーは右膝関節炎などで出遅れ、5月5日のイースタン・インボイス戦(鎌ケ谷)が初実戦となった。7回から3番手で登板し、2回を3安打2失点(自責点0)。最速は147キロだった。

◆11年斎藤佑樹 2月13日、サムスン(韓国)との練習試合で2番手として4回に登板。1回を打者3人、1三振で無安打無失点に抑えた。最速は139キロで、全14球のうち変化球はカーブが1球だけだった。

◆13年大谷翔平 3月10日、教育リーグのヤクルト戦(鎌ケ谷)で2番手として初登板。2回1安打無失点。30球のうち直球は24球で、150キロ超えは8球。最速152キロだった。野手では2月17日の紅白戦(国頭)で4回に代打出場。4打数2安打だった。

◆19年吉田輝星 3月12日、教育リーグの楽天戦(鎌ケ谷)で初登板し、1回無失点。打者4人相手に1安打1四球も、最速146キロの真っすぐを主体に得点を許さなかった。

◆21年伊藤大海 2月13日の紅白戦(名護)に登板。試合開始直前の強雨でマウンドがぬかるみ、打者2人に12球、わずか6分間でノーゲームに。しかし、最速149キロを計測するなど、一級品の対応力を披露。

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