阪神近本光司外野手(28)が日本のエースの剛速球を打ち砕いた。大谷の1発に沸く球場の雰囲気を、ひと振りで阪神色に染めた。3回2死走者なし。カウント3-2からの7球目。先発山本の自身最速タイとなる159キロ内角球を完璧に捉えた。ぐんぐん伸びる打球は、虎党の待つ右翼スタンドへ。昨季のMVP右腕から放った今季実戦初アーチとなった。

「大谷選手であったりヌートバー選手であったり、素晴らしいバッティングをセンターから見せてもらった。盛り上がった球場の雰囲気に僕自身の気持ちもすごく高まっていた中で、良いスイングができた」。

侍ジャパンのマスクを被ったのは同じセ・リーグのヤクルトの中村。159キロの剛球は狙い打ちではなく、探り探りの一打だった。

「シーズンで戦う捕手。『どう来るんかな』という思いがあった。ただ反応だけで『何が来るんだろうな』と思って待っていたので、張っているとかはない。でも張っているようには見せないといけない。いろいろ考えました」。

「楽しくいこうと思っていた。オールスターのような感じで入っていた」というこの試合。直前の守備では大谷の衝撃弾が自身の頭上を通過した。その後、大谷2発目となった3ランも、中堅フェンスを越えていった。試合前の打撃練習でも右翼スタンド上部に突き刺すなど、観客を沸かせた2本の衝撃弾。近本も口があんぐりだ。

「打球自体はホームランはホームランですけど。打った感じとか初速とか。ああすごいなと感じた」

主に3番での起用が多かった昨季に対し、今季は1番での起用が決まっている。チームでは激しい外野争いが繰り広げられる中、近本への信頼は揺らがない。オープン戦ではここまで4試合に出場し、打率3割0分8厘と好調を継続をキープ。虎のリードオフマンが、由伸撃ちでさらに存在感を示した。【波部俊之介】

○…佐藤輝が侍ジャパン戦で快音とはならなかった。一流の投手陣に相手に4打数無安打、2三振と振るわず。大谷の試合前打撃練習や、打席からの雰囲気を見て「やっぱり強く振るのが大事だなと思いました。もう球場にいる全員が見ていたと思うし、すごかったですね。普通のオープン戦とは違う雰囲気でできたのはいい準備になった」と今後の糧にしていく。

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