最速158キロを誇るオリックス山下舜平大投手(20)が31日の西武戦(ベルーナドーム)で開幕投手を務める可能性が17日、浮上した。広島とのオープン戦(シティ信金スタ)に先発し、4回2/3を4安打2失点、10奪三振と快投。山下は3年間で1軍公式戦登板0だが、オリックスはパ・リーグでは唯一、開幕投手を明らかにしておらず、サプライズの機運が高まってきた。

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Kマークが積み重なった。初回、2死三塁から西川に適時打を許したが、直後のデビッドソンから3回先頭床田まで圧巻の5者連続三振。2回には落差のあるフォークで打者3人を空振り三振に仕留めた。「フォークは前の試合から6日間練習したので、前の試合よりも良かった」。球場の球速表示はなかったものの160キロに迫る剛速球は相変わらず。そこに新フォークが効果的だった。

サムライからのアドバイスもあった。数日前に侍ジャパンに追加招集された山崎颯からロッカー室でフォークについて助言を受けた。詳しくは明かさなかったが、「この感覚良くない? と話していて投げてみたら良かった」と変化量が激変。バッテリーを組んだ森も「すごい落ちていた。見違えましたね」と驚いたほどだ。

着実にステップアップしている。山下は1軍登板の経験はなく、昨季は腰の成長痛などで2軍でも登板は8試合。オフには両足首の手術を受け、今キャンプではシート打撃に投げただけだった。ところが、オープン戦初登板となった4日阪神戦で最速158キロを投じて周囲の度肝を抜くと、10日巨人戦でも4回途中1安打無失点。潜在能力が開花しつつある。

気になるのが登板日だ。2週連続で他球団の開幕投手がそろって登板する金曜日の先発マウンドに上がっている。侍ジャパンに参加している山本、宮城の状態は読めない。ただ、3連覇を狙うチームには山岡、田嶋ら実力者もそろう。それだけにズバリ開幕投手について問われた山下も「まったく(意識は)してないです」と平静だ。1軍未登板の選手が開幕投手を務めれば、球団では1954年(昭29)の梶本隆夫以来、69年ぶり。開幕戦からのサプライズもゼロではない。

▼山下が今季の開幕戦に先発すれば、新人以外では2リーグ分立後初の「プロ初登板の開幕投手」となる。新人の開幕投手はセ8人、パ6人が記録。直近は昨季北山亘基(日本ハム)。新外国人の開幕投手は3人で、直近では18年にブライアン・ロドリゲス(日本ハム)が務めた。また、前年まで連続3シーズン登板0だった川崎憲次郎(中日)が、04年に開幕投手となったが、それ以前に通算88勝の実績があった。

◆山下舜平大(やました・しゅんぺいた)2002年(平14)7月16日生まれ、福岡県出身。福岡大大濠から20年ドラフト1位でオリックス入団。昨年はウエスタン・リーグで8試合に登板し2勝2敗、防御率3・31。同年ヤクルトとの日本シリーズにはベンチ入りし、貴重な体験を積んだ。190センチ、98キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸700万円。

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