WBC連覇をつかんだ「師匠」の言葉は、侍ジャパン村上宗隆内野手(23)にとって貴重だった。ヤクルト青木宣親外野手(41)は17日、阪神とのオープン戦で青柳から四球、右前打と全2打席で出塁。その約18時間前、東京ドームの三塁側スタンドにいた。WBC準々決勝のイタリア戦を家族で観戦していた。

5回無死一、二塁。今大会不振だった村上が初打点となる中越え適時二塁打を放った。後輩が目覚めた瞬間、「よっしゃ!」と気持ちが高ぶった。メジャーからヤクルトに戻った18年、村上が入団するという縁。そしてプロ1年目を終えた村上を米ロサンゼルスの自主トレに呼んだ。師弟関係はそこから続く。

WBCが開幕すると、「ちょっとつらそうだな」。テレビで見た村上の表情が普段と違う。「忙しいかな」と少しためらったが、12日オーストラリア戦前に電話を鳴らした。

「エラーするのも、打てないのもムネ。逆に言えば大爆発するのもムネ。たくさん打って貢献したいとかいろいろあるだろうけど、それもムネ。全部いつも通りのムネだから」

うまくいかないこともまた日常-。計り知れない期待を背負い、平常心が保てなくなる不安を少しでも取り除いてあげたかった。「しかも4番で余計張り切る。とは言ってもまだ若いから」。

あと2戦。負けたら終わりという戦いに挑む侍たちにもエールを送る。「言葉で『楽しんでいこう』とは言ってても、やっぱり必死でしょ。それでいいんだと思う」。ありのままの自分を受け入れてからが勝負だ。【三須一紀】

◆青木とWBC 06、09、17年の3大会に出場。出場3度は日本選手では他に内川聖一しかいない。連覇を達成した09年には全9試合に3番で先発出場。打率3割2分4厘、7打点の活躍で大会ベストナインにも選ばれた。

【関連記事】ヤクルトニュース一覧