新井劇場開幕!! 広島新井貴浩監督(46)が6日、阪神2回戦(マツダスタジアム)で指揮官初勝利を手にした。悪天候の中、スライド登板で先発に送り出した遠藤が、毎回走者を出しながら粘りの投球でゼロを並べた。開幕から苦しんだ打線も1回に先制すると、4回にはデビッドソンの1発で2点を加えた。結末は降雨コールド。現役時代記録にも記憶にも残る選手だった新井監督らしい初勝利となった。

ようやくファンに届けられた1勝目に、雨にぬれた新井監督は笑っていた。6回表。プレーボールから断続的に降り続けた雨が、佐藤輝を迎えた打席で強くなった。21分の中断を経て、球審がゲームセットを宣告。新人監督初の開幕4連敗から抜け出す初勝利はコールドゲームによってもたされ、同時にマツダスタジアム通算500勝。記録にも記憶にも残る“新井さん”らしい記念星となった。

ウイニングボールは球団にプレゼントした。マツダスタジアムは「すごくいい思い出が詰まった場所」。広島に復帰した15年初打席での大歓声に、3連覇まで経験した。「若い頃からうまくいかず苦しい思いが詰まった場所」と振り返るのは旧市民球場。励まし以上にヤジや罵声など厳しい言葉を受けた。だが、新井監督にとってはどちらも特別な場所に変わりはない。

原点は旧市民球場のビジター側の三塁ベンチ後ろ、外野寄りの席にある。小学3年まで球場近くに住んでいたこともあり、よく父に手を引かれながら球場に行っていた。「まだ野球をよく分かっていなかったから。ただ、あのユニホームを着た選手たちが格好良かった」。視線はグラウンドではなく、一塁ベンチに座る広島選手たち。ミスター赤ヘル山本浩二ら選手が輝いて見えた。

この日、新井監督は現役時代と変わらぬ感情を爆発させた。1回の先制点に拍手を送り、4回のデビッドソンの1発には身を乗り出して右手を突き上げた。「気持ちが入っているので自分がどんなガッツポーズをしていたか分からない」。新井少年が見た光景を今度は自分がファンに届ける。新井劇場、開幕だ。【前原淳】