阪神岡田彰布監督(65)が、15年ぶりの伝統の一戦で完敗した。前回指揮を執った08年10月以来の東京ドームで原巨人と対決したが、ノイジー、大山、佐藤輝の中軸が先発戸郷らの前に12の0に抑えられるなど沈黙。8回に中野の42イニングぶりの適時打で1点をかえすのがやっとで、5試合連続1得点以下と貧打が深刻な状況だ。岡田監督も「そりゃ勝てんわな」と嘆くしかなかった。

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東京ドームの白い天井に、高々と飛球が舞い上がるばかりだった。27アウトのうち、半分以上の15個がフライアウト。岡田監督は「えへへっ。打てんなあ。差し込まれるばっかり、ポップフライばかりやもんな」と苦笑いするしかなかった。

8回に中野が42イニングぶりの適時打で1点をかえして2点差に迫ると、ファンは盛り上がった。だが、なお1死一、二塁で3番ノイジーは遊ゴロ、4番大山はこの日自身3つめの飛球となる二飛で凡退。「2人(走者が)残ってクリーンアップで。まあ、打ち取られ方が悪い。はっきり言うて」と嘆くしかなかった。

クリーンアップで12打数無安打。出塁すらできなかった。狭い東京ドームならと代えずに5番に入れた佐藤輝は、バットを折られる遊ゴロ、3球フォークを続けられて空振り三振など、4打数無安打。指揮官は「(復調の兆しは)見えへん。見ての通りやんか。結果論を言うてもしゃあないやん」と、静かに話した。

大山は「しっかり反省して、また明日試合あるので頑張ります」と言い、佐藤輝も「切り替えてやるしかないです」と必死に前を向いた。一方で岡田監督は「点取れん。4試合(連続で)1点じゃ、そりゃなかなか勝てんわな」と厳しい表情で、「(メンバーを)変えたくないとは言うてないよ」とコメント。発熱で離脱していた渡辺諒を合流させる12日のテコ入れに、含みを持たせた。

岡田監督は15年ぶりとなる、因縁の東京ドームだった。前回指揮を執った08年10月8日、猛追してきた巨人との最終戦に1-3で敗れ、141試合目で初めて首位を陥落。最大13ゲーム差を逆転されて2日後の10日にリーグ優勝をさらわれ、引責辞任に追い込まれた。

その日先発し、4回2失点で敗戦投手となった安藤が現在投手コーチを務め、5番三塁で3打数無安打だった今岡が打撃コーチとして、第2次岡田政権を支えている。雪辱は持ち越しになったが、あの悔しさを胸に刻むコーチ陣とともに、若いチームを強く育てる覚悟。12日の第2ラウンドは、攻撃陣の奮起でスカッと快勝したい。【石橋隆雄】

▼岡田監督は阪神の監督としては、08年以来の巨人との公式戦となった。同年のこのカードは、8月30日(甲子園)から7連敗で閉幕。13差を覆されてのV逸につながった。15年の月日を超え“8連敗”となった。